SIGNATURE2017年08_09月号
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i II世界ョンとしてその認知度も高まって最大規模の日本酒コンペティシいる「SAKECOMPETTON 2017界最多となる1730点の出品酒の中から選ばれた入賞酒への表彰式が行われた。今年は「ラベルデザイン部門」と「発泡清酒部門」が新設され、さらに多角的な面から日本酒の価値と魅力を発信する舞台となった。「ラベルデザイン部門」は銘柄を多くの人に覚えてもらうために、酒の顔である表ラベル面のデザインのみを審査するもの。鶴と亀のシルエットをアイコン化した「越後鶴亀 越王 純米吟醸」のシンプルな意匠が、その1位に輝いた。この部門を提案したコンペティション実行委員の中田英寿氏は「日本酒は国内外に広がっていますが、名前がブランドとして認知されていません。ラベルがブランドとしてのツールだと意識していただきたい」と、その意義を語った。 このコンペティションでは、各部門のトップ10までが発表されるので、一般客にとって地元の人しか知らないような美味しい銘柄と出合う機会でもある。そのため1位を獲得した日本酒は全国からの問い合わせが殺到し、即日完売するほどの人気を集めている。上位3位までが発表された「Super Premum部門」は、高価格帯で技術や味を競い合い、日本酒のプレミアム化を目指したもの。2度目となる今年は、山梨県北杜市白州町の山梨銘醸株式会社が手がけた「七賢純米大吟醸大中屋斗瓶囲い」が選ばれた。そしてこのお酒の醸造責任者で、常務取締役の北原亮庫氏は、35歳以下の最上位受賞」。 世の酒蔵にダイナースクラブから贈られる「ダイナースクラブ若手奨励賞」をダブル受賞した。1750年創業という老舗の未来を担う北原氏に、これまでの酒造りについて尋ねた。 「初代から数えて12代目になりますが、蔵元杜氏として酒造りを行ったのは私が初めてです。その重圧を感じながら醸造責任者になってから4年をかけて、若いチームで改革を進めてきました。仕込み水として使用するのは甲斐駒ヶ岳の伏流水。南アルプスの水はやわらかい甘みも感じるほどの軟水です。ところがやわらかい水をただ酒に仕上げてもあまりいいお酒にならなかったんですね。そこで水と向き合うことをずっと心がけてきました。この水はどう手を加えたらポテンシャルを発揮できるか、他県の品種を北杜市で栽培した米を使うとか。それは白州の水を表現することにも繋がります。やわらかい中にもふわりと立ち上る香り、それをベースとして後味はすっきり、軽快に流れるような酒質に仕上げました」 山梨県といえば、一般的にはワインのイメージが強いが、それさえも自らの日本酒造りに生かしているという。 「ワインだから日本酒だからという感覚は私たちの世代にはあまりないと思います。私自身スパークリングの日本酒を開発する際にワインセンターに何度も通ったり、有名なワイナリーさんに出向いて勉強させていただいたりしました。それこそが、山梨ならではの取り組みなのではないかと思います。次回はスパークリングでの受賞も目指したいです」46右上から反時計回りに:〈Super Premium部門〉の1位に輝き、〈ダイナースクラブ若手奨励賞〉をダブル受賞した山梨銘醸の北原さんとプレゼンターとして登場した中田英寿さん。中田氏は「同じ山梨県人として誇らしいと思いました」と笑顔で語った。/各部門1位受賞酒。左から:〈ラベルデザイン部門〉越後鶴亀 越王 純米大吟醸、〈発泡清酒部門〉南部美人 あわさけ スパークリング、〈純米酒部門〉作 穂乃智、〈吟醸部門〉来福 大吟醸 雫、〈純米吟醸部門〉土佐しらぎく 純米吟醸 山田錦、〈純米大吟醸部門〉開運 純米大吟醸、〈Super Premium部門〉七賢 純米大吟醸 大中屋 斗瓶囲い。/6月5日、東京・六本木の『グランド ハイアット 東京』で行われた授賞式に続き、同会場で開催された授賞パーティ。2017年から、農林水産省、経済産業省、内閣府、外務省が後援となり、岸田文雄外務大臣も臨席。/ 今年新設された〈ラベルデザイン部門〉の展示。審査は水野学氏ら3名のデザイナーが務めた。

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