35濃茶席の茶杓は狩野探幽作。水戸徳川家伝来という貴重な道具に、直接触れることができるのも茶事の魅力の一つ。たっぷりの抹茶へ静かに注がれる釜の湯。茶碗の肌合い、抹茶の緑色、沸き立つ湯の音などが、薄暗い茶室の中で客の五感を刺激する。濃茶席の床の間の掛け物は西行筆の「五首切」と呼ばれる貴重な古筆。西行は風流な和歌を多く残した平安末期の僧侶。水戸徳川家伝来。主菓子は『叶 匠壽庵』製の栗きんとん。吟味した素材の味を生かすことで定評があり、少し大きめの上菓子舗の真骨頂ともいえる秋の名菓。
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