菓子のいただき方薄茶席で干菓子が出ますが、比較的出てくるものが決まっていて、召し上がらないで持ち帰ってしまわれる方も多いようです。干菓子でも新鮮な驚きや季節感を味わっていただきたくて、ここでお茶会をする時に、栗をそのまま焼いて松葉を敷いた上に載せて出したりすることもあります。そうするとお客様が「わっ!」と言って喜んでくださる。亭主の心づくしの道具やお点前に寄り添いながら、菓子で茶席の会話が盛り上がるのは、とても幸せなことです。今回の茶会の干菓子は当日のお楽しみということで、当店ならではの菓子をご準備したいと思っています。37写真は茶事でよく使われる縁高という菓子器。黒文字(楊枝)が添えられて出てくる。写真上から:畳の縁の外側に置かれた菓子。懐紙を出し、縁の内側、膝前に置く。/添えてある楊枝で菓子を取る。左手を菓子に添えてもよい。/懐紙に菓子をのせ、楊枝を懐紙の向こう側の端を軽く折り、拭う。/菓子の手前に楊枝を置き、周りの客にも菓子が行き渡るのを待つ。/懐紙を左手に取り、楊枝を使いながら菓子をいただく。薯蕷饅頭などは手でいただいてもよい。この一碗の茶に亭主の思いが込められている。茶席の室礼、心づくしの道具、料理、菓子すべてが「抹茶一服」を召し上がっていただくためにある。客がその思いを受けとめることが、亭主にとってはいちばんの喜びだ。一碗の茶への一礼には、深い思いが込められている。
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