しゅうめいぎくに設えたのは1990年のことだった。ガレ、ラリック、ドーム兄弟、マジョレル、ギマール、ミュシャ……。アール・ヌーヴォーの調度品で統一されたこの館は、まさに宿泊も可能な美術館。その名も『メゾンベルエポック』である。 このたび、2年の月日をかけて『メゾンベルエポック』をリニューアル。本社建物からは地下セラーを抜けてゲストハウスまで、セレブリティがパパラッチに狙われることなく移動可能である。また、かつてはなかったバーカウンターが備えられ、そこには「ペリエジュエベルエポックブラン・ド・ブランリミテッドエディション2004」のボトル装飾を手がけた日本人アーティスト・三嶋りつ惠氏のガラス作品が展示されている。 リビングやダイニング、2階の宿泊室を彩る、ガレやギマールなどアール・ヌーヴォーの作品群は以前と変わらず、ゲストの目を大いに楽しませてくれる。そこでいただく一杯のベルエポック2008。これほど名前の響きとボトルのイメージが、その中に詰められた液体の風味とぴったり重なるシャンパーニュがほかにあろうか。白い花に柑橘のフレーバー。口当たりは柔らかく、しかしぴんと張り詰めた緊張感。繊細にしてエレガントな飲み心地が全体を貫いている。 日本の北斎や広重の影響を受けたとされるアール・ヌーボー。聞けばガレがデザインした白い花は、じつのところ日本の秋明菊がモチーフだったとか。ベルエポックの価値をもっとも理解できるのは、私たち日本人なのかもしれない。右:ガレのキノコランプをはじめ、アール・ヌーヴォーの調度品で美しく彩られたリビングルーム。中:アネモネ柄のグラスに注がれたベル エポック 2008。ボトルのイメージそのままの繊細さとエレガンス。左:現セラーマスターのエルヴェ・デシャン氏。味わいの鍵は彼が握っている。69お問い合わせ ペルノ・リカール・ジャパン 電話03-5802-2671 https://www.perrier-jouet.com上3点:リニューアルにあたり、メゾンの裏庭でパーティを開催。 ロートレックの絵画をはじめ、貴重な美術品が。 左:ロダンはアール・ヌーヴォーの作家ではないが、メゾンの100周年を祝して1911年に贈られたブロンズ像「永遠の青春」も展示。
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