456 にむらじゅんこ|ライター、翻訳家、比較文学研究者、1児の母。長年のフランス暮らし、モロッコ通い、上海暮らしなどを経て、現在、鹿児島大学講師。著書に『クスクスの謎』(平凡社新書)、近著には『海賊史観からみた世界史の再構築――交易と情報流通の現在を問い直す』(稲賀繁美編、思文閣出版、共著)などがある。ムルー」も食べられるようになった。アルガンオイルに石臼で砕いたローストアーモンドと純正蜂蜜を加えて和えた茶色のペースト「アムルー」は、赤ちゃんですらその美味しさに病みつきになる。軟らかいパンにつけてあげると、目を輝かせ、もっと欲しいとねだるソフィアちゃん。意外にモロッコのパンは美味しく、しかも平均1ディルハム(約12円)と激安だ。モロッコ人は、お茶の時間に、甘いミントティーやハーブティーにパンを浸して赤ちゃんにあげることが多い。 小さな彼女のもうひとつの好物が、モロッコ人なら老若男女、知らない人はいない「ライビ・ジャミーラ」だ。ライビとは、素焼きの甕で常温発酵させる伝統的な中温乳酸菌飲料で、モロッコだけでなく、アルジェリア、チュニジア、リビア、エジプトでもよく飲まれたり、食されている。幼児からお年寄りまでの腸内フローラを守ってくれるヨーグルトに似た味の飲料だ。「ライビ・ジャミーラを飲めば強くなる」という宣伝でもおなじみのライビ・ジャミーラは、ダノンの商品名なのだが、50年以上モロッコの幼児に愛されている手軽なおやつとなっている。石榴味のライビがお気に入りのソフィアちゃん。強く、美しい(ジャミーラ)女の子に成長しますように!ざくろ魅惑の「アムルー」と乳酸飲料「ライビ」 1歳になったソフィアちゃんは、家族と一緒に「ア*イスラム法上合法な食1.マラケシュのソフィアちゃん。2.白ハリラ。今日の具は大麦とお米。3.左から、定番のホブス、ピタパン風のミトゥ、バゲット。焼きたてで、どれも12~16円程度。4.南モロッコ名物の贅沢なペースト、アムルー。5.ポップなプラスティック容器に入ったライビ・ジャミーラ。6.ライビ・ジャミーラが大好きなソフィアちゃん。45Photographs & Coordination by Saori MALABAHnumber38Morocco
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