東京国立近代美術館企画課長猫や花や虫や鳥など身近なものを描き、明るい色彩と単純化されたかたちを持つ作風で、若い世代にも人気の画家・熊谷守一。一見ユーモラスで、何の苦もなく描かれたように思える穏やかな作品の背後には、じつは科学者にも似た鋭い観察眼と考え抜かれた制作手法とが隠されていた。相次ぐ家族の死などに見舞われながら質素な生活を続け、97歳で没するまで、晩年の20年ほどはほとんど外出することもなく、庭で過ごし、ひたすら絵を描き続けた〝超俗の画家〞の軌跡と、色褪せることのない作品世界の魅力を、展覧会企画者に伺った。「へたも絵のうち」の「上手」を見る人Mika KURAYA 蔵屋美香SignatureInterviewPhotographs by Chika OKAZUMIText by Maki FUJITA15no.写真・岡積千可文・藤田麻希78
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