SIGNATURE 2018 1&2月号
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What’s new ? FashionHERMÈSPhotograph by Toru OSHIMAText by Chizuko MATSUO シルエットやデザインは時流に媚びない。しかし色彩やプリント、素材の取り組みで革新に挑む。そして、その革新は未来へと続く価値を持つ。ファッションが短期間に消費される今、エルメスがつくり出す持続性という物語がひときわ輝いて見える。 今季のメンズコレクションではブラック、グレー、ネイビー、ボルドーといったシックな色彩をコンテンポラリーなスタイリングで展開。合わせた小物はスポーティなディテールのシューズとベルトポーチやムートン素材のバッグ、そしてフェルトを組み合わせたオータクロアなど。 オータクロアは1892年に鞍入れとしてデザインされたエルメスを代表するバッグ。そこに今季は高密度なウール・フェルトを合わせている。したがって、オールレザーよりも軽量、しかもビジネスからカジュアルまで使えて汎用性も高い。レザーのフラップを開ければ内部はシンプルそのもの。外観も内部構造もこれまでと同じシンプルに徹し、フェルトの温かな感触だけが新しいのだ。帽子はラビットのカットフェルト。これもまた同じ配色。一貫した素材と色彩の調和も秀逸だ。不変に革新が宿るフェルトのオータクロア写真・大志摩 徹 文・松尾千鶴子メンズハット(ピート)77,760円、バッグH36×W40×D23㎝、1,555,200円(共に税込)お問い合わせエルメス(エルメスジャポン)電話03-3569-3300エルメスのメンズ部門を30年近く率いているのは、女性アーティスティック・ディレクターのヴェロニク・ニシャニアン。「品質や革新、職人技と共に長い時間を過ごすこと」とエルメスの価値を語る彼女の指針のもと、今季の新作もまた、使う人に寄り添い、愛用品へと昇格する将来が約束されている。23
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