SIGNATURE 2018 1&2月号
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フランダース(仏語でフランドル)は、旧・フランドル伯領を中心とする、オランダ南部、ベルギー西部、フランス北部にまたがる地域を指す。さまざまな言語が重層する多言語圏は、ベルギーという国のアイデンティティそのものだが、15世紀から17世紀中頃にかけての大航海時代には、この地こそが、ヨーロッパ中に名を馳せていた芸術の発信地であった。ブリューゲルのブリュッセル、ルーベンスのアントウェルペン……中世から近世にかけ、芸術というキーワードで“世界の中心”として君臨したベルギー・フランダース地方に、画家たちが視た中世の原風景をたどった。ランダ特集ブリュッセルの南西に位置するパヨッテンラント地域。この一帯を治めていた領主・ブラバント公が13世紀に建てたガースベーク城からの眺望。ピーテル・ブリューゲル1世の《穀物の収穫》(次ページ参照)は一説によれば、この城のイタリア式庭園からの眺めを描いたものだとされる。ブリューゲルの中世をたどる29

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