SIGNATURE 2018 1&2月号
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ブリューゲルルームで対角に展示された《ベツレヘムの人口調査》。左がピーテル1世、右が同2世の作品。現在、王立美術館の古典部門では「ブリューゲル―目に見えない傑作」と題し、ブリューゲルの作品世界を最新のテクノロジーで体験する展示が行われている(2020年3月16日まで)。200年以上の歴史を誇る王立美術館のゴージャスなホワイエ。右はピーテル・ブリューゲル1世の大作《叛逆天使の墜落》(1562年、部分)。リュッセルの芸術の中心地「ロワイヤル広場」。美術館が立ち並ぶこの一帯で、ひときわ重厚な外観を誇るベルギー王立美術館の古典美術館は、15〜18世紀のフランドル絵画の宝庫である。メムリンクやファン・デル・ヴェイデンといった15世紀の初期フランドル美術の画家たちや、バロックの巨匠ルーベンス。数々の名作が並ぶ同館で、とくに人気が高いのが、ピーテル1世と、2人の息子たちの作品を紹介している「ブリューゲルルーム」だ。 世界中に100枚以上の模倣作が存在する《鳥罠》のオリジナル作品や、人間と爬虫類が混合したような不思議な造形の怪物たちがうごめく《叛逆天使の墜落》、キリスト教の主題をフランダースの雪景色のなかに描いた《ベツレヘムの人口調査》……。名高いピーテル1世の傑作を間近に鑑賞できるこのスペースは、ブリューゲル・ファンには天国のような場所だろう。 同じ空間には長男のピーテル2世や次男のヤン1世(1568〜1625年)が、父に倣って自然や農民を描いた、いわゆるブリューゲル・スタイルの作品が展示されている。ピーテル1世による《ベツレヘムの人口調査》と、ピーテル2世が描いた模倣作品を、じっくり見比べられるのも、同館ならではの体験だ。 こうした油彩画のほか、ピーテル1世は版画の下絵を描いたことでも知られている。その価値にいち早く気づき、世界屈指のブリューゲル版画コレクションをつくり上げたベルギー王立図書Museumstraat 9, 1000 Brussels, BelgiumTel:+32(0)2 508 32 11開館時間:火~金10:00~17:00土・日11:00~18:00 月曜休https://www.ne-arts-museum.beRoyal Museums of Fine Arts of Belgiumベルギー王立美術館フランドル絵画の宝庫ブ38
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