SIGNATURE 2018 1&2月号
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カントリー リシャスの 愉悦 建国以来、多くの移民を受け入れてきたカナダ。トロントもその例に漏れず、多くの民族が交わり合うモザイク都市の典型として、さまざまな文化が街に彩りを与えている。特に食文化においては、欧州やアジア、中近東など、世界各地の要素を取り入れたフュージョン料理が個性を打ち出している。トロントではこの時季に「ウィンターリシャス」と題したイベントが毎年開催されている。ウィンターリシャスとは「ウィンター」と「デリシャス」を結合させた造語で、冬と夏のサマーリシャスの2回、有名レストランを筆頭に、200以上の加盟レストランでプリフィックスのコース料理を安価で楽しめる。 そんなイベントはPECにも波及しており、美味しい田舎を想像させる「カントリーリシャス」では、春と秋に収穫された食材を中心にしたファーム トゥ テーブル料理が各レストランで提供される。 オンタリオ湖畔に佇むロケーションと居心地のよさが人気の小さなデザインホテル『ドレイク・デボンシャー』は、レストランでの食事にことに評判が高く、冬場でも予約は必須といえる。 「PECはカナダ中でも特に食材には恵まれた土地。良質な食材を一番美味しい時に一番美味しく調理する。シンプルですが生産者と私たちができる最良のおもてなしだと思っています」。そう語るのはシェフのマイケル・ポーティガル氏だ。 テーブルに運ばれたトレビスとベビーケールのサラダは、爽やかな苦味と野菜本来の味の濃さ、メープルシロップの優しい甘みを感じるヴィネグレットソース、ローストガーリックとリンゴのスライスがアクセントとなり、サラダの一体感を楽しめる。 白銀の雪と静寂に包まれた大地、透き通る湖の美しさ、暖かな室内でいただく滋味豊かな料理とワイン……そして白フクロウ。そんな冬のPECの贅沢なひとときを体験したい。近年、グルメエリアとして注目を集めているPEC。豊かな自然と食材に魅了されて移り住み、レストランをオープンする一流シェフも少なくない。静かな環境、美味しいワインと食事を楽しみに、都会から離れてゆっくり週末を過ごしたいトロントニアンにも人気のエリアだ。Agrarian住所:275 Main St. Bloomeld, ON K0K 1G0, Canada電話:+1-613-393-0111 http://agrarianpec.caThe Courage住所:298 Main St., Wellington, ON K0K 3L0, Canada電話:+1-613-399-2233http://www.thecouragebar.comローカルの素材を最大限に活かしたビストロ。少しずつ、いろいろシェアして楽しみたい。骨付き鶏もも肉のコンフィをのせたカスレ(写真上)。クリスピー・カリフラワーとくるみのグレモラタソースはサクサクした食感が後を引く(写真下)。“Farm to Table”をコンセプトとした普段使いのビストロ。アジア風にアレンジしたフュージョン料理が人気。オンタリオポーク・アドボ バスマティライス添え(写真左)。クリスピーシュリンプ 自家製キムチとダイコンのサラダ(写真右)。54

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