SIGNATURE 2018 1&2月号
56/80

2017年11月3日〜5日開催のべおか国際食卓会議『すきやばし次郎』の小野二郎氏が、 『オステリア・フランチェスカーナ』のマッシモ・ボットゥーラ氏が、延岡にやってきた。 日本だけでなく、世界の美食家が延岡に熱い視線を向けた週末を、 同イベントのプロデューサーで料理評論家の山本益博氏がレポートします。文・山本益博 11月3日(金・祝)、4日(土)、5日(日)の3日間、宮崎県延岡市で「のべおか国際食卓会議」が開かれました。東京、関西ではなく地方から世界へ向けて「食の最前線」を発信しようと、私が延岡市と企画して、実施しました。今回の目玉は、2日目に開かれた、東京『すきやばし次郎』の小野二郎さんとイタリア・モデナ『オステリア・フランチェスカーナ』のシェフ、マッシモ・ボットゥーラさん(2016年度「世界のベストレストラン50」第1位)による奇跡の対談「伝統と進化」でした。 10月中旬、モデナへ出かけたとき、マッシモの奥様から質問を受けました。「なぜ、東京で開かないのでしょうか?」と。私は「スローフードの運動が始まったのはイタリアのブラという小さな町で、その運動が始まる前には誰もブラという町の名前は知りませんでした。いま、ローカルから食料廃棄や環境保護に関する『食』の問題を発信することがとても大切です」と即答すると、たちまち合点してくださいました。 対談では、マッシモがイタリア料理2000年の歴史を振り返り、そこから伝統料理を再構築した料理の実例を話されました。初めは「イタリア料理の破壊者」とまで言われたそうですが、今ではイタリア料理の真の伝統を継ぐ料理人と呼ばれているそうです。 それに応えて二郎さんは、2016年から復活させた「あじす」(大きめのあじをこはだと同じように、酢と塩で締めたすし種)を例に挙げ、「新しい魚には一切興味はなく、江戸前の握り鮨の200年の歴史を振り返り、今、EVENT REPORT上:「奇跡の対談」を聞くために、県外からも多くの客が詰めかけた。中左:左から、首藤正治延岡市長、マッシモ・ボットゥーラ氏、小野二郎氏、山本益博氏。右中2点と左:マッシモ氏が特別に料理を作り、サーブするといったシーンも。延岡に奇跡のテーブルがやってきた64

元のページ  ../index.html#56

このブックを見る