中山「熊本の新鮮な素材に触れて新しい店で出す料理の イメージが膨らみました」ました」。賢三さんは、そう評価する。 「お客様の中で主役が誰かを想像して、その方に集中して喜んでいただけるよう心がけていました。主役が笑顔なら、周りも喜んでくれますし、お子さんが主役であれば、そのお子さんに『おいしい!』と言わせたいなと。賢三さんの下には、世界的なデザイナーはもちろん、日本からのお客さんもたくさんお見えでしたから、当日のお腹の状況を考えて、召し上がっていただきやすい料理をお出しするように心がけていました」と、中山シェフ。 賢三さんとの旅は2度目。昨年3月に由布院と唐津を旅した。今回は、地元だけに若干緊張気味にも見えるシェフ。まず向かったのが、菊池市だ。 「小さい頃、山に囲まれた盆地から出て行きたくて仕方なかった。実は子供ながらに、髙田賢三さんと東京で一緒にご飯を食べる夢を見ていました。で Toyomitsu NAKAYAMA天草下島の『蛇の目寿し』でおまかせ握りをいただく。ほとんどが地元で揚がった魚で、新鮮さと上品さを兼ね備えたお寿司だ。賢三さんも「初めて食べる魚ばかりで、美味しかった」とご満悦。35ご主人の濱孝顕さんと、和やかに歓談する二人。良い食材とも出合えたうれしさからか、ついつい日本酒も進んでしまう。「住むと天国の天草に、ぜひ別荘を造ってください」とご主人。なかやま とよみつ/1971年熊本県菊池市生まれ。大阪の辻調理技術専門学校を卒業後、神戸で修業を開始。渡仏し『日本料理 伊勢』で働く。髙田賢三氏の目に留まり、2002年から私邸の専属料理人を7年間務める。2009年『Restaurant TOYO』をパリにオープン。2018年3月、日比谷に待望の日本1号店を開業する。2016年より熊本親善大使を務めている。中山豊光
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