DNAを受け継ぐ大人がいたことに、賢三さんもうれしそうだった。 翌日は、天草に渡った。目的はもちろん、熊本が誇る新鮮な海産物。訪れたのは、通詞島にある『天草フーズ』。生け簀では、立派な伊勢海老やアワビ、車海老がピチピチと跳ねている。その海産物を見ながら、「こんな料理を作りたい」と熱心にプレゼンする中山シェフ。賢三さんもその場でさばいた車海老のイキの良さに驚いていた。その後、一行は1845年創業の窯元『丸尾焼』を訪れた。天草の陶土は良質で、日本で産出される陶土の8割を占めているのだそう。賢三さんは器が大好きで、パリのご自宅にはたくさんの食器があるという。中山シェフもその器を実際に使うことで、盛り付けに対するインスピレーションが広がったのだという。熱心に器を選んでいた賢三さん、絵付けができることに気づいて、絵筆をとって器に花を描き出した。そうして描き上げられたコクリコの花の皿は、シェフへの激励の意味が込められていたのかもしれない。 「この地に来て、安心しました。中山君なら熊本の食材ですごいことがやれるんじゃないかな。若い人たちを巻き込んで、一緒にやろうという姿も素晴らしいし、一緒に巡る機会を与えてもらって感謝しています」と、賢三さんも感慨深げだった。 おもてなしを終えた中山シェフは、翌日も精力的に食材探しに走り回った。その妥協なき姿勢は、きっと東京のレストランのお皿に反映されるだろう。つうじしま*料金などの詳細・申し込み方法は、71ページをご覧ください。37EVENT INFORMATION東京ミッドタウン日比谷「Restaurant TOYO」オープニング記念ディナー2018年3月の日本の1号店オープンを記念して中山シェフが来日。ダイナースクラブ会員限定ディナーを4月6日(金)に実施します。当日は髙田賢三氏も応援のために駆けつけます。髙田賢三氏、中山シェフが愛する熊本の食材をぜひご堪能ください。中山シェフの地元の菊池市の名産「走る豚」。三元豚を自然放牧で飼育している。時速30キロで走ることで、筋肉の間に脂肪が入り込み絶妙な肉質になるという。「使ってみたい有力食材です」と中山シェフ。
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