SIGNATURE 2018 4月号
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キアラ・ムーティベルイマンが映画への愛をそう呼んだように、私にとってはオペラ劇場が〝魔法のランタン〞だったのです 「育った環境の影響かもしれませんけれど、オペラの演出の場合は何よりも音楽を大切にします。父がいつも言っていますが、すべて音楽に書かれているからです。音楽を無視した動きには意味がありません。音楽と言葉の関係を大切にすることで自然な演技が生まれてくるのです」 登場人物の役柄や性格などをどのように設定したらよいかという課題は自分が女優であることが大いに役立っているという。彼女がピッコロ・テアトロの養成所に通っていた時は父のリッカルド・ムーティが音楽監督としてミラノ・スカラ座に君臨していた。偉大な演出家や歌手の稽古を見学することで多くのことを学ぶことができた。 「父は私に、お前は演出家的な物の考え方をするね、将来は演出家だねと言っていました」と笑う。《マノン・レスコー》の初演は父との共演だった。演出家に対して厳しい意見を持つリッカルド・ムーティとの共演は緊張の連続だったのではないかと想像するが、「最高の一言」との答えが返ってきた。「お互いの考えが分かり合えて、言葉で議論する必要が全くないのです。私は父の演奏する音楽を深く尊敬していますし、父も私が音楽を重視するということをよく知っていますので、信頼関係で結ばれているのです」。 父とは台本の行間や楽譜の奥を読むことなど、とてもデリケートな話をするという。助言はしても指示はしないリッカルドは、とても自由に仕事をさせてくれるそうだ。 東京の後はナポリのサン・カルロ歌劇場で《コジ・ファン・トゥッテ》の演出にかかる。シーズンのオープニングを飾るこの演目は久しぶりに父との共演だ。●●●15 ©Silvia Lelli /TORTheater InformationLA TRAVIATAダイナースクラブ会員特典会員特別先行販売:3月11日(日)購入1件につき公演プログラム1冊進呈列保証:東京文化会館19列目以内    神奈川県民ホール20列目以内G.ヴェルディ作曲《椿姫》(全3幕)指揮:ヤデル・ビニャミーニ/演出:ソフィア・コッポラ [予定キャスト] フランチェスカ・ドット(ヴィオレッタ)、アンナ・マラヴァーシ、アントニオ・ポーリ、レオ・ヌッチ ほか 2018年9月9日(日)・12日(水)・15日(土)・17日(月・祝)開演はいずれも15:00会場:東京文化会館(上野)料金(税込):S席 54,000円G.プッチーニ作曲《マノン・レスコー》(全4幕)指揮:ドナート・レンツェッティ/演出:キアラ・ムーティ [予定キャスト] クリスティーネ・オポライス(マノン・レスコー)、グレゴリー・クンデ、アレッサンドロ・ルオンゴ ほか2018年9月16日(日)15:00 会場:神奈川県民ホール(横浜)9月20日(木)・22日(土)開演はいずれも15:00 会場:東京文化会館(上野)料金(税込):S席 54,000円ローマ歌劇場2018年日本公演椿姫

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