SIGNATURE 2018 4月号
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「四〝最高級ホテル〞 に乗る愉しみ II II II SUTE四季島」も奥山氏自らが、「デ『KENOKUYAMADESIGN』が担に輝く車体は10両編成で、付帯施設と合わせおよそ100億円の資金が投じられている。車両デザインのみならず、ロゴやユニフォーム、料理の器から、車内備品に至るすべてを当。総帥の奥山清行氏は、イタリアのデザイン工房『ピニンファリーナ』在籍時にエンツォ・フェラーリをデザインしたことで知られるが、秋田新幹線や、最新の山手線E235系なども手がけており、鉄道のジャンルでも大きな実績がある。「TRANザインから駅舎まで丸ごとやらせてほしい」と、トータルプロデュースを逆提案したという。季島ゴールド」と名づけられたシャンパーニュカラー 車内の空間は四季がテーマ。エントランスの5号車は夏。「こもれび」と名づけられ、ラウンジの役割。東日本に脈々と受け継がれてきた工芸品が出迎えてくれる。秋田木工のソファや天童木工のオブジェなど、さまざまな調度として取り入れられている。1号車「きざし」と10号車「いぶき」は春。従来の展望車とは異次元。壁から天井まで広がるウィンドーで、森林や田園、海岸といった日本の変化に富んだ景色を楽しめる設計に。昼間の車窓はもちろん、夜間の星空や夜景を最大限に楽しめる。寝そべることができるソファもあるので、もし独占できればそこは〈ひとりプラネタリウム〉といった趣に。ガラス張りの運転席になっており、鉄道愛好者は時間が許す限り「かぶりつき」なのだという。そして、6号車のダイニングは秋で、各車両は冬がイメージだ。いずれも「モダンな和」のインテリアで、新たな発見と非日常感をもたらす工夫がされ、特別な旅の高揚感を与えてくれる。 客室も列車とは思えないような贅沢な空間が広がる。倍率も高く、予約が困難を極めるという最上級の「四季島スイート」はメゾネット形式。1階がベッドルーム、2階には畳敷きで掘りごたつ式のリビングがあり、総檜の浴槽を奢った風呂まで備えている。しかし「TRAN SUTE四季島」の真髄は、ハード面だけではない。ンクルーを配置。高級ホテルや客室乗務員、添乗員など、おもてなしのプロの経験を持つスタッフたちの守備範囲は広い。あるときは旅の裏情報を教えてくれるコンシェルジュであり、食事をもてなしてくれるバトラーであり、立ち寄り先の観光ガイドでもある。 「TRAN SUTE四季島」は、電車とディーゼルの両方の機能を持った列車だ。それゆえ北海道やローカル路線にも対応。また、アクティブサスペンションで揺れによる不快感を最大限に解消している。さらに、車掌と運転士が連携し揺れた個所を記録。次の旅では速度を調整、快適さを向上させている。そのうえ、絶景ポイントでは速度を落として、心と目に美しい光景を焼きつけられるような配慮も。こんな、目に見えない部分でも「移動する5つ星ホテル」は〝おもてなし〞をしているのだ。56専用ラウンジ『PROLOGUE 四季島』「TRAIN SUITE 四季島」専用ホーム34名の乗客に対して、十分なトレイ「TRAIN SUITE 四季島」の客室はすべてスイート。内装には、東日本各地に息づく伝統工芸が調度として取り入れられており、日本のデザイン文化再発見の契機ともなる。下は旅の起点となる上野駅のラウンジと専用ホーム。
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