SIGNATURE2018年05月号
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注目れがし『たアいナミスュターシジアカ』ルだが。ある。そ 舞台は20世紀初頭、ロマノフ王朝崩壊時のロシア。十月革命により皇帝一族は滅びたとされる一方、末娘のアナスタシアだけは生きのびたのではないか……。米国で親しまれるそんな伝説から生まれた物語は、1956年にイングリッド・バーグマン主演の『追想』で映画化、97年には20世紀フォックスがアニメ化し、日本にも配給された。 ミュージカル版を手がけたのは、トニー賞受賞劇作家のテレンス・マクナリー氏、グラミー賞ノミニー作曲家のステファン・フラハティ氏、そしてトニー賞受賞演出家のダルコ・トレスニャク氏の豪華メンバー。前評判どおり、同作品は初公演から1年が経過した今も、多方面から高評価を受ける。 数ある評価の中で特筆すべきが、最新技術による美術装置の新たな試みだ。 仕掛け人はビデオプロジェクション・デザイナーのアーロン・リン氏。ブロードウェイには2011年の『俺たちに明日はない』で参入。続く『ア・ジェントルマンズガイド・トゥ・ラブ・アンド・マーダー』(2014年にトニー賞最優秀ミュージカル作品賞受賞)でも才能を発揮し、『アナスタシア』製作チームには招かれる形で合流した。  アーロン氏の映像は繊細かつ躍動的だ。役者の動きに合わせ、CG画像や動画を背景となるLEDスクリーンに投影する。それにより本来動かない背景に動的スピード感が生じ、物語の世第3章最新テクノロジーが伝統のミュージカルを変える42Photographs by Matthew Murphy, Text by Kayoko OGAWAニューヨークが誇る娯楽のもう一つが ブロードウェイ・ミュージカル。年間100万枚以上のチケットが売れ、世界中の人々を魅了してやまないエンターテインメントの王道も、この街の発展とともに、確実に進化し続けている。文・小川佳世子

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