SIGNATURE2018年05月号
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60サンデーサイレンスネオユニヴァースハーツクライステイゴールドPhotoⒸJunichi SUGIURA競馬を深く知るための、レースの向こう側のストーリーよそ40年前、サラブレッドクラブおは1980年に産声をあげた。設立当初は「社台ダイナースサラブレッドクラブ」といい、馬名につけられた“ダイナ”の冠号は、やがて広く競馬ファンの間に知れ渡ることになる。 初のクラシック馬ダイナカールはまさに、クラブの認知度を一気に高めた功労馬だろう。同馬といえば、83年のオークス。ダイナカールは、ゴール前なんと5頭が同タイムという大激戦の勝者として歴史に名を刻んだ。 ダイナカールのオークスから3年後、86年にはダイナガリバーが日本ダービーを制した。クラブの提供牧場である社台ファームにとっても、初の悲願達成である。そして、この年の有馬記念がさらに印象深いのは、ダイナガリバーとギャロップダイナ(前年秋の天皇賞馬)で、クラブ所属馬によるワンツーフィニッシュが決まったからだ。 血統に詳しい方ならば、すでにお気づきのことだろう。紹介した3頭は、すべてノーザンテーストの子供たちであることを。社台グループの創設者である故・吉田善哉氏が海外から導入した種牡馬ノーザンテーストとサンデーサイレンス。この2頭こそが、クラブのみならず、日本の競馬を飛躍的にレベルアップさせたといっても過言ではない。そのサンデーサイレンスを父に持つネオユニヴァースは2003年の2冠馬である。同馬は皐月賞に続き日本ダービーを制し、ダイナガリバー以来となる栄誉に浴した。 海外遠征の先駆者として忘れてならないのが、同じサンデーサイレンス産駒ステイゴールドとハーツクライの2頭である。ステイゴールドは海外2戦2勝の外弁慶(?)。世界の強豪が集った01年ドバイシーマクラシックを制し、同年引退レースの香港ヴァーズで悲願のGⅠ制覇を遂げた。ハーツクライは05年有馬記念でディープインパクトを破った翌年、ドバイ遠征でシーマクラシックを圧勝。続く英国のキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスSでも僅差3着に健闘してみせた。 競馬は常に“世界”を意識していなければならない。サラブレッドクラブもまた然り。2年連続JRA賞を受賞したソウルスターリングは、まさにその見本のような1頭だ。父フランケルは、現役時14戦全勝で「怪物」と称された世界文・辻 一郎 写真・原 智幸最強馬。母は仏米のGⅠを6勝した名牝である。今や日本ではこうした世界的血統馬が珍しい存在ではなくなっている。ソウルスターリングは、今年海外遠征を視野に入れながら、さらなる高みを目指す。 社台サラブレッドクラブは、83年から04年まで22年連続で中央競馬の年間最高賞金を獲得し、馬主成績第1位〈登録法人/(有)社台レースホース〉を記録。06年、08~09年にも第1位となったように歴史と実績は随一だ。また、年間最多勝利数を記録した年度は計27回を数え、これまでに送ったGⅠ馬は27頭に上る。名馬とともに、そして競馬を愛する人々とともに、クラブはこれからも一歩一歩着実に歩んでいく。Text by Ichiro TSUJI Photographs by Tomoyuki Hara(FORESEER photo)vol.08社台サラブレッドクラブ活躍馬の歴史

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