とともに、昔からこのサロンに置かれているバカラ製の像のオブジェを愛でたい。2つ存在し、対のもう一つはインドのマハラジャが所有している。 ロビー奥には、ヴィンテージのコニャックやウィスキーなどが琥珀色のきらめきを放つショーケースに続き、パリのホテルでは初となるバーバー&靴磨きショップ。男性の好奇心を大いに刺激する空間だ。 さらに進むとスパ。地下に新設した広々としたプールは、天井がガラス張りで外光が注ぐ。アーティスティックな石細工の壁やプール底を覆うタイルの美しさにも目が惹きつけられる。贅沢な空間に設えたマッサージサロンも、その内装の一つひとつがアートだ。 新しく誕生したガストロノミーダイニング『レクラン』は、中庭に面した上品で秘めやかな空間。伝統を大切にしつつ世界中の食文化の魅力を巧みに組み込んだ料理に、ワインのみならず、ビール、日本酒、お茶にアプサントなど、独創性あふれるドリンクのペアリングを楽しめ、注目を集めている。 コモンスペースを堪能したあとは、客室エリアへ足を運ぼう。ここはそのしつら昔、マリー・アントワネットがピアノを習った館。コンコルド広場を見下ろす優美なサロンで、彼女はどんな曲を奏でたのだろうか。 パールピンクをモチーフに、マリー・アントワネットの胸像やロマンティックでロココな装飾を施した「マリーアントワネット・スイート」。このホテルに長く滞在した作曲家、レナード・バーンスタインの、ニューヨークの自宅の雰囲気を彷彿させる内装と、コンコルド広場はもとよりエッフェル塔も一望できる広いテラスが魅力の「バーンスタイン・スイート」。リニューアルを記念し、カール・ラガーフェルドが手がけた2つのスイートには、ラガーフェルドが自ら撮影した愛猫の写真が飾られ、クチュリエの審美眼が隅々にまで行き届き、他のスイートとは一線を画す。 カーテンの刺繡は老舗刺繡工房ルサージュ、グラス類はバカラ、アメニティは老舗高級薬局のビュリー……。18世紀から現代に至るまでのフランスの手工芸品やアートの粋が随所にちりばめられていて、フランスの美しき歴史がぎっしり詰まった美術館的ホテルだ。=38La Place de la Concordeメインダイニング『レクラン』。リニューアル前から総シェフを務めるクリストファー・アッシュによるガストロノミー料理を堪能できる。バーバー&靴磨きコーナー。滞在中に立ち寄り、パリジャン的おしゃれを楽しみたい。Hôtel de Crillon
元のページ ../index.html#34