SIGNATURE 2018 7月号
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CSignature『天国と地獄』イギリス版(1963年)『赤ひげ』キューバ版(1966年) ポスター:エドゥアルド・ムニョス・バッチ『蜘蛛巣城』イタリア版[2 シート判](1959年) ポスター:カルラントニオ・ロンジTicket Information1998年の逝去から20年、今なおその名声が衰えることのない映画監督・黒澤明。 国立映画アーカイブ開館記念として企画された、 世界30か国にわたる黒澤映画のポスター84点を中心に、 巨匠〈クロサワ〉の国際性に光を当てる。会場:国立映画アーカイブ 展示室(7階)東京都中央区京橋3-7-6 [アクセス]東京メトロ銀座線 京橋駅(出口1)から徒歩1分都営地下鉄浅草線 宝町駅(出口A4)から徒歩1分東京メトロ有楽町線 銀座一丁目駅(出口7)から徒歩5分JR東京駅 八重洲南口から徒歩10分会期:2018年9月23日(日)まで開室時間:11:00~18:30(入室は18:00まで)※毎月末の金曜は20:00まで(入室は19:30まで)休室日 : 月曜、8月7日(火)~12日(日)、9月4日(火)~7日(金)トークイベント7月21日(土)マンハッタンの KUROSAWA―アメリカの黒澤明事情講師 : 平野共余子(映画史家)8月25日(土)展示品解説―映画ポスター史の視点から講師 : 岡田秀則(国立映画アーカイブ主任研究員)9月8日(土)クロサワはどのように世界で発見されたのか?-展示資料の読み解き方講師 : 槙田寿文(黒澤明研究家、本展出品者)お問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)オフィシャルサイト http://www.nfaj.go.jp/国立映画アーカイブ開館記念没後20年 旅する黒澤明槙田寿文ポスター・コレクションより21文・中村千晶 東京・銀座と隣り合う京橋に、 映画愛好家の“聖地”と言われるスポットがある。 『国立映画アーカイブ』̶̶映画の収集・保存・活用を行う東京国立近代美術館フィルムセンターが、 2018年4月に国立美術館の一館として新たに始動。 「映画を残す、 映画を活かす。」 をミッションに、 充実の展覧会や上映を行っている。 開催中の 「没後20年 旅する黒澤明 槙田寿文ポスター・コレクションより」 は、 世界30か国の黒澤映画ポスターを紹介するもの。 各国の解釈とセンスでデザインされたポスターは、 それぞれがひとつのアート。 お国柄を比較するのもおもしろい。 特集上映にも魅力のラインナップが並ぶ。 EU加盟国の選りすぐりの作品を集めた 「EUフィルムデーズ 2018」 (6月21日まで。 京都、 広島でも上映) は毎年、 満員御礼も出る人気。 「アンコール特集」 では、 『シベールの日曜日』(1962年)なども収蔵プリントで上映される。 展示はわずか250円、 上映は520円で鑑賞できる。 まさに 「映画の穴場」 だ。 アーカイブが目指すのは、 若い世代の映画体験を広げ、 次世代の映画観客層を育成することだ。 主任研究員の冨田美香さんは話す。 「一般の劇場で見られるものとは違う映画の世界を提供することが私たちの使命。 若い世代にもシネコンでヒット作を見るだけでなく、 さまざまな映画に触れてほしいのです」。 昨年からスタートした解説付きの 「映画の教室」 や 「こども映画館」も好評だ。 子どもの親たちも 「フィルムを初めて見た!」 と驚くという。 デジタルの時代にフィルムを残す意味は大きい。 デジタル化したデータには消失のリスクがあり、 残しておくことで高性能のスキャナーが登場した際に、 よりハイクオリティなデジタル変換が可能になることもある。 海外でも高く評価された2008年の 『羅生門』 復元作業も、 現存する最良のプリントがあってこそだ。 そして、 やはりフィルムにはえも言われぬ 「味」 がある。 「アーカイブになった記念に、 アニメーション作家の山村浩二さんに先付け映像を作っていただいたのですが、 デジタル版、 16ミリ版、 35ミリ版それぞれに思いがけない違いが出たのです。 35ミリ版はまろやかに、 16ミリ版はザラッとした質感で荒々しく、 アンダーグラウンド的な印象に。 山村さんご自身も驚かれていました」 フィルムにしかない味わいを知る。 そんな愉しみを逃してはもったいない。olumnText by Chiaki NAKAMURA3アーカイブでたどる映画の美̶̶。シネコンとはひと味違う、もうひとつの映画の愉しみEntertainment

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