らしいしっかりとした味わいだ。きっとこの国の食に寄り添う日本酒へと進化し続けていくのだろう。 もうすぐ夏を迎えるニューヨーク。ブルックリン生まれの日本酒を片手に、屋外でBBQに舌鼓を打つヒップスターたちの姿が目に浮かんだ。 酒蔵を後にし、向かった先はマンハッタンのマレーヒル地区にある居酒屋『丘』(OKA)だ。オーナーシェフのジョン・マッカーシーさんは、アジア各国の食事情に通じた元・弁護士。食への探究心は彼を料理の道へと導いた。料理学校に入学し唎酒師の資格も取得した。卒業後は数々の名店で修業し、店を開いた。 メニューには日本酒をはじめ、焼酎、ウィスキーなど日本産の銘柄が名を連ねる。その片隅に『ブルックリン蔵』の銘柄がひっそりある。 「日本酒は日本で造られるからこそ日本酒。それ以外の場所で造られるものが日本酒であるのかどうか||それは私の料理も同じ。日本の食文化に敬意を表しつつ、その土地の方法でその魅力を地元に根づかせたいのです。日本酒人気が高まる中、米国産がどこまでやっていけるのか。それでも、海を越えた日本酒がていねいに造られるさまを応援したい」 幾度となく日本の酒蔵を訪れ、その理解に努めてきた彼の言葉には、厳しさと同時に〝国産酒〞への熱いエールが込められていた。 *ききざけし カルローズ米(Calrose):1948年にカリフォルニア州で開発された中粒種の米。(*)上:倉庫街の雰囲気を生かした店構え。 右下:クールなタップルームでは、 日本酒はまるで生ビールのようにカジュアルに注がれる。 左下:現在リリースされている日本酒。 「純米生原酒(Blue Door)」(左右)と「純米吟醸生原酒(#14)」(中央)。いずれも一切火入れをしていない生生酒。使用米:カリフォルニア産カルローズ米、アーカンソー州産山田錦(ミネソタ州で精米) 酵母:日本醸造協会7号、9号 仕込み水:ニューヨーク州キャッツキルの天然自然水を濾過 銘柄:「純米生原酒(Blue Door)」「純米吟醸生原酒(#14)」*タップルームではこのほか常時4~5種類が楽しめる。左:モダンな店内。中央:手前からマグロと卵・アンチョビクリーム、揚げ舞茸、イクラの菊芋ピューレ、ハマチのカマ焼き。右:マッカーシーさんは高校時代は韓国に暮らし、日本を含むアジア各国の食事情に造詣が深い。31BROOKLYN KURAブルックリン クラ68 34th Street, Brooklyn, NY 11232 U.S.A.Tel:+1 347 766-1601 www.brooklynkura.comJohn McCARTHY, Chef Ownerオーナーシェフジョン・マッカーシーOKA丘(オカ)439 3rd AvenueNew York, NY 10016 U.S.A.Tel:+1 929 367-8607https://www.oka.nyc
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