数々の試飲イベントや講演に執筆と、ドイツで日本酒の啓蒙活動を続けて14年の上野・ミュラー・佳子さんは、業界のパイオニアとして欧州を駆け回っている。 上野さんのヴィジョンは「食のイースト・ミーツ・ウェスト」。1989年からドイツを拠点とし、お寿司とワインのマッチングがあるならば、地元ドイツの料理との組み合わせで、日本酒がシャンパンやワインの代わりにもなり得ると持論を展開してきた。2005年、実際に1つ星シェフ、インゴ・ホランドさんが日本酒をリストに入れてくれて以来、興味を持つ店は増え、5つ星ホテルからも引き合いがくるようになった。 その上野さんがこのところ力を入れているのがフード・ペアリング。欧州人シェフとソムリエと3人でコース料理に合ったお酒のマッチングを考える企画だ。この日、ホテルレストラン『オラニアベルリン』でのディナーも、上野さんと長年付き合いがあり、日本酒への理解も深いソムリエのヨハネス・レンスターさんの誘いで実現したイベントだった。 「日本酒は多様でワインと同じようにどんな食にも合います。プレミアム・セグメントとして、これからも星付きレストランの半分には入れてもらいたいですね」と上野さんの目人気レストランのメニューに日本酒を! 38右:ソムリエのヨハネス・レンスターさんが料理のタイミングに合わせ特徴を説明。左:鱈のグリーンカレーに仙台『勝山酒造』の〈䴇-LEI-〉。マスクメロンのような香りにふくよかな旨み。下:予約がすぐに定員に達した『Orania.Berlin』でのディナー。文・浦江由美子 写真・峯岸進治Text by Yumiko URAE Photographs by Shinji MINEGISHI日本酒の伝道師たちBerlinSake & “Sake Evangelist”
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