三つ子の胃袋百までも、ほうれんそう もしもポパイがエジプトにやってきたら、「エジプシャン・スピナッチ」ことモロヘイヤに驚愕するだろう。ほかの緑黄色野菜に比べ、総合栄養価が極めて高いモロヘイヤは、カルシウム、ビタミンA、B、K、カロチン、それに加えて、葉酸や鉄分などに富み、独特のぬめりは整腸や疲労回復にもよいという。エジプトの各家庭には、「マハラタ」と呼ばれる半月形のモロヘイヤ専用包丁があるほど。エジプト人たちが、いかにこの野菜を愛食してきたのかが窺える。 「シマツナソ(縞綱麻)」という和名を持っている「モロヘイヤ」は、アラブ語のエジプト方言。「王様のもの」を意味する。今から8000年ほど前、エジプトのファラオがモロヘイヤのスープで病気を完治したと伝えられているらしい。しかし、残念ながら、その典拠は見当たらない。事実というよりも、むしろ「伝説」だろう。とはいえ、栄養価が豊富なモロヘイヤは、エジプト人たちに愛され続けている「野菜の王様」であることは間違いない。 モロヘイヤは、離乳食初期から与えることができる野菜だという。6か月になったヤスミンちゃんも、モロヘイヤのスープを食べ始めた。一口あげると、ニコニコしてすぐにお代わり。ただ、シュウ酸が多いので一度にたくさん与えるのはダメで、お粥に混ぜて、様子を見ながら、少しずつ。また、種には毒性があるので、収穫期を過ぎたものは食べることはできない。 デザートには、お米で作るポピュラーな牛乳プリン「ロズビラバン」を一口。超甘菓子天国のエジプトだが、ロズビラバンは、甘さ控えめで幼子に適している。ヤスミンちゃん向けにシンプルに作ってあるが、年齢に応じて、アーモンドやピスタチオ、干mlouk(王)に由来するmolokhia & y231ansoon444文・にむら じゅんこ「王様の野菜」で強い子に
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