がうんきょう文・沢田眉香子 写真・水野秀比古、 水口博也東福寺が時代ごとに発信してきた文化。じつは紅葉観賞にも、新しい楽しみ方を提案してきた。 「東福寺のカエデは3月から新芽が芽吹き出して、4〜5月は新緑の青紅葉が楽しめますが、それ以降の深い緑も味わっていただきたくて6月から8月は〝深緑〞と呼んでいます。そして紅葉です。近年はピークを過ぎても楽しめる〝散り紅葉〞の美しさもお伝えしています。12月上旬にはスギ苔の緑の上に、落ち葉の赤や黄色が重なった色彩の美しさが見どころです」境内入り口にある臥雲橋からは紅葉に彩られた渓谷・洗玉澗を眺めることができる。さらに渓谷越しの回廊の一番高い場所にある通天橋からの眺めは、京都随一の紅葉スポットとして知られ、カエデの色づく時期が遅いことから「京都の最後の紅葉」として、秋の名残を惜しむ人々から「秋のすゑ」「洛陽の奇観」として親しまれている。 「境内のモミジは、開山が中国から持ち帰ったとされる宗国原産の通天モミジ(葉先が3つに分かれ、黄金色に色づく三葉楓)、山紅葉、枝垂れ紅葉、ノムラモミジとあり、さまざまな色に染まる個性も楽しんでいただきたい」今回のイベントでは、約40万人が訪れるという紅葉のピーク時には、立ち止まることもできないほど混雑する通天橋からの絶景をじっくりと観賞することができる。さらにその中を、嶋原の太夫が道中を披露するという特別な体験が用意されている。闇に浮かぶ錦秋の中、紅葉と太夫道中の織りなす幻想的な一夜をお見逃しなく。つうてんきょう錦秋の美を極める、通天橋の紅葉秋のすゑ洛陽の奇観Kyoto, Zen Gateway to Divine Colors of Autumn上:通天橋の新緑の青紅葉。下:通天橋の見晴台からの紅葉。(写真・水野秀比古)左ページ:洗玉澗の紅葉越しに、通天橋と方丈を望む。(写真・水口博也/アフロ) 36
元のページ ../index.html#32