SIGNATURE 2018 10月号
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太夫道中の「道中」は、置屋から太夫を招いて遊興する場である揚屋までの道行きを指す。太夫の帯は前で「心」の字に結び、つねに手を帯の中に入れている。男衆が持つ道中傘には『京都嶋原 末廣屋』の家紋「丸に剣カタバミ」。付き添いの禿(少女)は「葵太夫」の文字が縫い取られた垂れを背負っている。太夫は鬘をつけず地毛で、おふくという髪型。同じおふくでも舞妓の場合は丸髷。太夫は立髷。立兵庫、長船、勝山髷(吹輪)など、さまざまな日本髪を結う。化粧は、白塗りの水化粧で、口紅は下唇のみに塗る「下紅」に、お歯黒をつける。髪飾りはべっ甲の簪と花簪、頭の前後左右に珊瑚のびらびら簪を下げる。39

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