CSignature上:右:重要文化財《騎馬武者像》京都国立博物館国宝《太刀 銘則国》京都国立博物館はしもと まり/日本美術を主な領域とするエディター&ライター。永青文庫副館長。著書に『SHUNGART』(小学館)、『京都で日本美術をみる【京都国立博物館】』(集英社クリエイティブ)。 みやこ会期 : 2018年9月29日(土)~11月25日(日)※前期:10月28日(日)まで/後期:10月30日(火)から前期・後期で主な展示替。一部は上記以外に展示替えあり。会場 : 京都国立博物館 平成知新館[京都・東山七条]開館時間 : 9:30~18:00(金・土曜は20:00まで)※入館は閉館の30分前まで休館日 : 月曜 ※10月8日(月・祝)は開館、翌9日(火)休館お問い合わせ 075-525-2473(テレホンサービス)展覧会ウェブサイト https://katana2018.jp特別展京のかたな匠のわざと雅のこころみやこ日本美術の冒険 第48回平安から平成まで、多くの名刀を生んだ京の刀剣文化を一堂に文・橋本麻里 鑑賞も蒐集も年配男性の趣味、と思われてきた刀剣が、オンラインゲームをきっかけに大きな注目を浴びるようになったのは2015年以後のこと。昭和の刀剣ブームは遠ざかり、コレクターも研究者も減りつつあった刀剣の世界で、1997年に東京国立博物館で開催された特別展「日本のかたな:鉄のわざと武のこころ」以来、国立博物館では実に21年ぶりとなる大規模な刀剣展の企画が立ち上がったのは2013年。負けを覚悟した戦いは、想定外の“援軍”のおかげで、SNSを中心に思わぬ盛り上がりを見せている。 それほどの人気を得るに至った理由には、刀剣が単なる殺傷用の武器ではなく、天皇の位を象徴する神器、また武家の威信を示す儀仗、そして現代では鑑賞のための美術品という、多彩で複雑な属性を備えていることもあっただろう。一方で「京」は、日本刀が最初に生み出され、美濃や相州などさまざまな地域へと広がっていった起点であり、再びそこから還流してきた技術や人を受け入れることで、盛衰を繰り返しながら名刀を生み続けてきた、「かたなの都」ともいえる。 本展覧会では、こうした刀剣の多面性や、公家、武家、町衆たちが織りなす歴史の中で果たした役割などに注目しながら、時代を追いつつ、京=山城国で打たれた作品を中心に紹介。さらに武士たちが台頭してくる平安時代末期の《前九年合戦絵巻》、堂々たる武家の棟梁を描いた《騎馬武者像》、泰平の時代へ向かうかぶき者が登場する《阿国歌舞伎図屏風》など、刀が描かれたさまざまな時代、ジャンルの絵画の名作も併せて出品するなど、初心者でも刀剣の魅力を味わえる糸口が、数多く仕込まれている。みやこやましろのくにolumnText by Mari HASHIMOTO202Art
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