SignatureSky Mirror, 2006 / Stainless steel, Diameter 10m / Photo: Tim Mitchell / ©Anish Kapoor, 2018Anish Kapoor Portrait by Gautier Deblonde※「in BEPPU」とは国際的に活躍する1組のアーティストを招き、地域性を活かしたアートプロジェクトを実現する個展形式の芸術祭。今回招聘するのは、現代美術の分野において最も重要なアーティストの一人として国際的に注目されているアニッシュ・カプーア。公式ウェブサイト:http://inbeppu.comお問い合わせ:混浴温泉世界実行委員会事務局TEL:0977-22-3560(月~金 9:00~18:00)Leviathan, 2011 / PVC, 33.6×99.89×72.23m / Monumenta 2011, Grand Palais, Paris / Photo: Dave Morgan / © Anish Kapoor, 2018Leviathan, 2011 / PVC, 33.6×99.89×72.23m / Monumenta 2011, Grand Palais, Paris /Photo : Dave Morgan / © Anish Kapoor, 2018 現代美術の分野でもっとも重要なアーティストの一人、 アニッシュ・カプーア。 “Sir(サー)”の栄誉称号を持つ英国の文化功労者でもある彼の大規模な個展が、 今秋、 大分県全域で行われる、 国民文化祭および全国障害者芸術・文化祭 「おおいた大茶会」 のメインプログラムのひとつとして、 大分県別府市で開催される。 奥行き約12メートルの空間内部で、 不思議な知覚体感を引き起こす新作のパビリオン型作品(世界初公開) をはじめ、 代表作のひとつで、 風景や空の移ろいを映す直径5メートルの彫刻 「スカイ・ミラー」(日本初公開)、 ドローイングや彫刻で構成される展覧会 「コンセプト・オブ・ハピネス」 など、 スケールの大きい作品群が展示される予定だ。 2012年のロンドン・オリンピックで 「オービット(軌道)」 と呼ばれる英国最大のパブリックアート (この記念塔には後に、 全長178メートルの世界でもっとも高く長い滑り台が加えられた) をデザインしたことでも知られるカプーアは、 1954年、 インド・ムンバイ生まれ。 英国の大学で美術を専攻し、 初めて芸術家という職業に目覚めたという。 だがその深みのある色彩感覚は、 インドの文化に大きく影響されたように見える。 色彩への情熱からか、 英国のナノテクノロジー企業が開発した、 光の吸収率99.96%という特殊な “世界一黒い塗料” 「ベンタブラック」 の独占使用権(アート作品のみ)を購入している。 このように、 触れる素材や色、 スケールの大きさに限界をつくらないことが彼の作品に、 自由さをもたらしている。 「美しさや神秘的な彫刻をつくり出すことはできない、 なぜなら、 こうした感情は見る側が選択するものであるから。 自分にできることは、 美しさや神秘的なものをつくる工程に全力を尽くすことだけ」 ――カプーアの作品は、 実在するものではなく、 反対に目に見えないもの、 感覚の中でしか存在しないものを表現している。 シンプルな形状が無限の想像力を掻き立て、 宇宙空間のような巨大なスケールの中に、 不思議に身近なものを感じさせる理由は、 作品に、 個人が持つ生々しい感情を反映させることができるからだろう。 彫刻と鑑賞する側の距離をなくし、 一体化させるカプーアの、 インタラクティヴで直感的な作品世界は、 個々の感覚を呼び起こし、 感情を揺さぶり、 深層意識に語りかける。 この神秘的な美の世界に、 ぜひ、 見て、 触れて、 体感してもらいたい。olumnText by Chikako Takahashi-HunteEvent Information21アニッシュ・カプーア IN 別府会期:2018年11月25日(日)まで 10:00~18:00(最終入場17:30)会場:別府公園 大分県別府市野口原3018-1料金:一般[高校生以上]1,200円(税込)、 小・中学生 500円(税込)日本一の「おんせん県」のランドマーク、別府公園に巨大なアート作品が出現!文・高橋ハント千佳子(在ロンドン)3Entertainment
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