SIGNATURE 2018 11月号
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==甘口ワインのオールドヴィンテージで前菜からデザートまで通すディナー。 シャトー・ラ・コラ「ミュスカ・ド・リヴザルト」1980年が、 ポワレしたスズキのふっくらとした口当たりを増幅させる。 左上:コリウールの『サンキエム・ペッシュ』(フランス語で「美食の罪」の意味)は、 日本人シェフが経営する地元で人気のビストロ。 地中海で獲れた鮮魚を和&カタロニアのアレンジで。 左下:タパスにはガスパチョやイベリコハムなど、 スペインの影響を受けたものが多い。 また、 コリウールの名産のひとつにアンチョビがあるが、 昔、 住民は半農半漁で、 ワインの農閑期にカタクチイワシを獲っていた。シ ペュルルピニャンの南、アルジュレスメールから国境まで、40キロほどの区間はコート・ヴェルメイユ(緋色海岸)と名づけられている。同じフランス地中海沿岸でも東部のコート・ダジュール(紺碧海岸)に較べると、認知度は高くないかもしれない。しかし、緋色にたとえられる強い陽光と蒼い海のコントラストに惹かれて、ヨーロッパ全土から観光客がこの地を訪れる。スペインにしてはフランスっぽい、フランスにしてはスペインっぽい文化もエキゾチックで魅力的なのだという。に 岩はがピちレのネ入ー山り脈江ががな続だくれ海込岸む線よ。背う後に迫り、その斜面をブドウ畑が覆う。中腹を走る幅の狭い曲がりくねった県道からの車窓は、カーブを曲がるごとに舞台装置が回転するかのごとく表情を変え、飽くことを知らない。深い入り江は漁港となって町が開け、暮らしの息遣いが感じられる。コート・ダジュールのような大規模資本の大型ホテルは、まだない。旅人たちはありのままの土地の姿を巡ることができる。ポ コートー・トコ・ヴンェトルロメーイルユものな先いはス、ペパイスンだ。料理もスペインの影響が強いが、そこはフランス領らしく、味付けも盛り付けも洗練されているといわれている。近くの漁港で揚がった海鮮類は、その日のうちに地場で消費されることがほとんど。イワシやイカ、そしてヨーロッパでは珍しいことに、タコが頻繁に食卓に上る。郷土料理はさっと鉄Côte VermeilleFascinating Scenery & Cuisine in French Catalonia56コート・ヴェルメイユ地中海と太陽の恵み

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