CSignature会期 : 2018年12月2日(日)まで※会期中一部展示替えあり会場 : MIHO MUSEUM 北館(美術館棟2F)滋賀県甲賀市信楽町田代桃谷300アクセス:京都よりJR琵琶湖線(約15分)にてJR石山駅下車、帝産バス「ミホミュージアム」行(約50分)開館時間 : 10:00~17:00 ※入館は16:00まで休館日 : 月曜 ※祝日の場合は各翌平日お問い合わせ 0748-82-3411展覧会ウェブサイト www.miho.or.jp/exhibition/2018chashaku/20はしもと まり/日本美術を主な領域とするエディター&ライター。永青文庫副館長。著書に『SHUNGART』(小学館)、『京都で日本美術をみる【京都国立博物館】』(集英社クリエイティブ)。 益田鈍翁作 茶 歌銘「年暮」 昭和13年(1938年) 全期間展示《沙門地獄草紙 解身地獄》鎌倉時代(益田鈍翁旧蔵)MIHO MUSEUM蔵展示期間:11月13日~12月2日ももさじなかぶし日本美術の冒険 第49回「茶は人なり」―近代茶の礎となった、数寄者たちの交流を回顧する文・橋本麻里 「茶をテーマとした展覧会」――そう聞いた方の多くの頭の中にはハテナマークが浮かんでいるに違いない。あんなに小さく、同じように見える茶ばかり集めて、果たして「鑑賞」が成立するのかと。 茶道具としての茶は、茶器から抹茶を計量して茶碗に移す道具。もともと象牙や金属を素材とする中国の薬匙を、日本の茶の湯の中に道具として見立てて採り入れたものだ。 やがてわび茶の祖とされる室町時代後期の僧・珠光がこれを模して竹を削らせたものが、茶の湯の世界で注目を集めるようになる。そして節をほぼ中央部に置くことで茶入れの上に据える際の目安、また外観上のアクセントにした“中節”という、現在まで続くスタイルを、千利休が完成させた。それ以前には、名を挙げられるような茶はほとんど知られておらず、会記に茶が記されるようになるのもやはり利休秋季特別展Ⅱ百の手すさび近代の茶と数寄者往来やく以後のこと。 何より、他の多くの道具が、プロフェッショナルの職人がつくったもの、あるいは禅僧による書画であるのに対して、唯一茶だけは、茶人自身が手ずから仕上げる(下削りを手がける茶師は存在した)茶道具として、茶人の全人格を象徴し、茶会の要となる「重い」道具となっていくのである。 今展は、近代日本の政財界を牽引し、同時に茶の湯に傾倒した益田鈍翁をはじめとする近代数寄者たちがコレクションした近世(桃山時代~江戸時代)の茶、そして彼らが茶人として自ら削った茶も含め百余点を一堂に展観する稀有な機会。小さな姿の中に多数の見どころをつくり出し、茶人たちがそれぞれの美意識を託した茶の魅力を紹介する。どんおうolumnText by Mari HASHIMOTO右:下:2Art
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