乾いた大地に咲く、色彩の点描オーストラリアの春を告げるのは、まずはワイルドフラワー。その名のとおり、栽培ではなく自生している花を表すが、オーストラリア全土ではその数は2万種を超え、西オーストラリアだけでも約1万2000種ものワイルドフラワーがカウントされている。その8割は豪州固有の種といわれ、西オーストラリアは植物学的に世界でもっとも多彩なバリエーションを持つ地域。まず初春の7月ごろ北部から咲き始め、盛夏となる南半球ならではの開花前線の動き方だ。 開花を心待ちにしているオージーたちが、もっとも楽しみにしているハイライトはキングスパーク&ボタニックガーデンで9月の1か月間開催されるワイルドフラワーフェスティバル。各地から収集された約3000種ものワイルドフラワーが一斉に咲き乱れるのは圧巻の光景だ。 ユニークな花の形や色彩は、昆虫や鳥などに自分の花粉を運んでもらうため。そのフォルムからつけられた「カンガルー・ポウ(カンガルーの手)」や「ピッグ・フェイス」など、親しみやすい名前からも、オージーがいかにワイルドフラワーを愛しているかが見てとれるというものだ。国花のワトルなど街路樹の開花は、日本の桜と同じように心待ちにされている。世界共通の春の光景だ。31キングスパーク&ボタニックガーデンKings Park and Botanic Garden左上から時計回りに、クリーピング・バンクシア(茶)。/西オーストラリアの州花であるカンガルー・ポウの色違い(グリーン)。/ワックスフラワー(白)。/スワンリバー・デイジー(ブルー)。/ジェラルトン・ワックスフラワー(ピンク)。/イエロー・エバーラスティング(黄)。12月にかけて徐々に南下していくのが、Fraser Ave. Perth WA 6005https://www.bgpa.wa.gov.au/kings-park西Wild Flowers
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