世界で一番幸せな動物が待つ、あの島へNestところ、旅先でカメラを構えるのは、日本人だけだと揶揄されていたこともあった。でもいま、フォトジェニックな対象にスマートフォンを向けるのは、万国共通の楽しみ方だろう。撮った写真をSNSに上げ、「いいね!」がもらえれば、なおのこと楽しい。そんなところから生まれたスターが、パースの沖合に浮かぶA級自然保護指定の国立公園ロットネスト島の固有動物・クオッカだ。 このクオッカ、ネズミに似ている容貌から、ラットの棲みか(Rat ットネスト島の名がついているのだが、実はカンガルーと同じ有袋類。ほかに天敵がいないため、自転車で3時間もあればひと回りできる島の中におよそ1万頭が暮らしている。そのクオッカが、微笑んでいるような写真がインスタグラムに投稿されたことをきっかけにブームとなり、「世界でいちばん幸せな動物」に会いたい、とロットネスト島の観光客は飛躍的に増えた。 といっても、島のスターはクオッカだけではない。春は出産を終えたクジラたちが子クジラを連れて沖合に頻繁に姿を現し、ニュージーランド・オットセイの家族は岬の突端で岩に飛び乗り、ひなたぼっこを楽しんでいた。そして、もちろんクオッカのおなかのポケットからもベビークオッカの顔が見え隠れ……。 車で乗り入れることや、動物の連れ込みが禁止されているロットネスト島の規制により、春を謳歌する動物たちの生態系は厳しく守られているのだ。やゆ)=ロ34微笑んでいるように見えるから「世界でいちばん幸せな動物」といわれるクオッカ。島の至るところで会える。ひ
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