もっ Inspiration』です。幸い望外の評価でをしっかり管理したフレッシュな酒を造る路線に変更する。そのタイミングで、大滝さんも自分たちで考えた酒を造るよう勧められ、蔵元の承認も得たのが2013年だった。 「蔵人たちと話し合い、酒質の方向性を決めて初めて造ったのが『ZAOをいただきました。ただ、限定流通だったので、より多くの人に飲んでもらえるようにと考えたのがKシリーズです。コンセプトは『心を込めて醸し、心を込めて管理し、心を込めてお届けします』。中でも最後の部分には力を入れています。きちんと温度管理されたままお客様の元に届けることで、私たちの造る酒の本質をわかってもらえるからです」 若き杜氏に今後の目標を尋ねると、「杉浦杜氏は〝和醸良酒〞という言葉を愛されていました。蔵人の和を以て良い酒が生まれるというだけでない、深い意味があると思っています。その言葉を胸に、蔵元ともよく話し合い、頼りになる副杜氏や、蔵人の皆さんと、よりよい酒を造る。まだまだ『蔵王酒造の酒はこういうものだ』というところまで到達していません。Kシリーズでは現在6種類の米を使っているように、この米、この酵母と限定するのではなく、いろいろな材料で試行錯誤を重ねたいですね。近々の目標は『蔵王』と同じ水源で栽培された米で酒を醸すこと。いま、その話が進んでいるんです」と、目を輝かせる。 その隣で満足そうにうなずいているのが、昨年実家に戻って来た31歳の渡邉毅一郎さん。保育士の経験を持つ異色の蔵元は、酒造りの現場に入り、間もなく始まる2回目の造りが楽しみで仕方ないという。 「もともと実家である酒蔵には戻って来るつもりでした。覚えることばかりなので、30歳前がベストのタイミングだと考え、昨年白石に帰ってきました。蔵元として自社の酒を説明する機会も多いですが、まだ深いところまで語れません。酒造りを通して理解を深めていきたいですね。大滝や蔵人たちのモチベーションが上がる環境づくりが、私の役割だと思っています。それと『蔵王』が山形ではなく、宮、城、の、酒なのを全国の皆さんに知ってもらいたいです」 若き蔵元と杜氏のチャレンジは始まったばかりである。バランスのいい食中酒しっかりとした旨みと心地よい後口のキレ。爽やかな香りとシャープな酸。ほどよい旨みとキレイな味わい。K(ココロ)シリーズの定番 70明治6年(1873年)創業以来、 一貫して品質本位の酒造りに徹し、 毎年11月から3月までの年1回醸造方式。地元産酒造好適米の契約栽培などを主に使用し、 蔵王連峰の伏流水と冬の蔵王おろしの寒風という自然の恵みを活かした酒造りを行う。宮城県白石市字東小路120-1電話0224-25-3355 www.zaoshuzo.com「ダイナースクラブ若手奨励賞」 に輝いた 「蔵王 純米酒 K」。宮城県産 「トヨニシキ」 65%精米。 720ml 1,150円(税込)。お米の形状をモチーフにしたグラス:木本硝子 「Mai 7 スモール」サイズ:径46×高さ60mm/容量100ml 2,160円(税込)。https://kimotogw.shop-pro.jp/「蔵王 特別純米 K」。 宮城県産 「美山錦」 55%精米。 720ml 1,377円(税込)。この10月には、 年により原料米や酵母等を替えたチャレンジ酒 「特別純米 K KURA chic」、 11月には 「純米大吟醸 K 山田錦 中取り」 の季節酒がリリース予定。 「K(ココロ)シリーズ」 は特約店向けの限定商品のため、 ほとんどが宮城県内で消費される。日本の食文化を応援します。蔵王酒造
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