SIGNATURE 2019 4月号
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じゅうにひとえかりぎぬかさねからすまむらさきのうえこのうしそらふやちょうてまり ざ 写真・大志摩徹 文・品川雅彦 碁盤の目状に整備された京都には、通りの名前を盛り込んだ「通り唄」がある。「まるたけえびすにおしおいけ」から始まるこの戯れ唄は、地元では九九のようにリズムをつけて口に乗せられてきた。歌詞の冒頭は順に「丸太町通り(以下、通りを省略)、竹屋町、夷川、二条、押小路、御池」を示す。全歌詞を諳んじられる段階に至れば、いつの間にか、京都のストリートマップも頭の中で完成している、という按配だ。 写真の品は「京都洛中通り名セット」と名づけられた飴。2013年設立の『京あめクロッシェ』が手がけ、『京都伊勢丹』のみで販売されている。和の飴づくりの技法に、ヨーロッパの加工着色技術を取り込み、十二単や狩衣の色合わせの規則性「襲の色目」も参考にし、絵巻物語、陶芸の美、京都の風景もモチーフとして、繊細に手づくりされた。 パステルカラーのパッケージには、烏丸、高倉、麩屋町などの通り名が示されているが、飴そのものには「紫上、小直衣、紅葉手鞠」など、雅な名がついている。味の種類も多種多様。可愛く、おいしく、上品に。新たな京都土産が誕生した。What’s new ? 京都の飴の限定品色にも味にも美学ありひいなうちぎお問い合わせ 京あめクロッシェ ジェイアール京都伊勢丹 袿店電話075-352-1111(百貨店代表)『京あめクロッシェ』は、京都市下京区に3店舗を構える。京都本店、京都タワーサンド店、ジェイアール京都伊勢丹 袿店。飴づくりは一貫して、下京区綾小路富小路の『今西製菓』で行われている。伝統と前衛と。雛6個セット:2,700円、雛10個セット:4,320円(共に税込)25Photograph by Toru OSHIMAText by Masahiko SHINAGAWAGourmetKYOUAME CROCHET

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