SIGNATURE 2019 4月号

39/89

　カウノスは山の高低差を利用した3層構造となっている。険しい岩山の頂上には要塞が聳えるアクロポリスが立つ。中腹には５５００人を収容する円形劇場、アポロン神殿、ビザンチン時代の修道院やローマ風呂跡など、各時代の歴史が何層にも積み重なっている。そして、港とその近くの開けた土地に、アゴラ（広場）とストアと呼ばれる市民の集う所に建てられた列柱廊建築がある。　キョイジェイズ湖からエーゲ海へ南北に蛇行しながら、葦が茂る湿地帯の中を流れるダルヤン川は、カウノス遺跡見物と合わせて天然のマッドスパや、河口のウミガメの産卵地となっている自然保護区のビーチを訪れるボートツアーが人気だ。クルーズ中にウミガメがひょっこり川の水面から顔を出すことも珍しくない。ここでは、一日たっぷり時間を取ってダルヤン川に点在する自然も楽しみたい。　拠点となる街・ダルヤンは、欧州では人気の保養地でヴィラタイプのホテルやスパリゾート等の宿泊施設が充実している。中心部はレストランやバー、土産物屋が軒を並べ、観光客で賑わうリゾートタウンだ。ここで数日のんびり過ごすのも悪くない。　リキアンウェイは、地中海における文化変容や建築物のみならず、残された文明の欠片から、彼らの思想に触れることができる。新たな変化に上手く適応しながら独自の文化を発展させていったリキアの謎解きは、まだ道半ばだ。そび41ダルヤン川クルーズの拠点となる街・ダルヤンには多くのリゾートホテルが軒を並べている。周辺には見所が多いので数日滞在するのもいい。名物のブルークラブは川沿いや街のレストランで食べられる。