SIGNATURE 2019 4月号
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楽茶碗京釜――京釜師 三代目吉羽與兵衛――帰きら来いが窯ま佐々木虚室よしは よへえ釜肌を「かっかと荒らせ」とは、利休の教え。伝統を受け継ぎ、自分の時代を意識して茶碗の命は、手取りとお茶の点てやすさ。形、高台、口当たり。多くの見どころを見てほしい現代のライフスタイルに真に求められるもの――。トレンドをとらえて、トレンドを創る。匠たちとの協働で生まれたゆるやかなものづくりに、現代性が宿る。手のこだわり i i 京都の伝統工芸とのコラボレーションには、いま世界的なハイブランドも数々参入している。その中で『Kwakoto』は、匠たちの仕事を理解し、作り手とコミュニケーションを重ねることで、そのこだわりを、最良の形でユーザーに届ける。 たとえば野点セットは、京釜師三代目吉羽與兵衛の監修。初代が千家十職の釜師・大西家13代浄長に弟子入りし、別家を許された茶の湯釜専門の工房だ。野点セットの茶釜は、プロダクトデザイナー・みやけかずしげのデザインを基に1つずつ土で鋳型を作り、そこに鉄を流し込んで鋳造。型に砂で凹凸をつける「肌打」で、テクスチャーに表情を添えている。桑の木の取っ手、柿の木の蓋は木工職人の作品。蓋に止まる鳥の形のつまみは清水焼だ。多くの職人の技がひとつの品に集約される一点物ならではの仕上げが、シンプルな形にプレミアムな重厚感を加えている。 楽茶碗は、わび茶の大成者・千利休の指導で生み出された、茶の湯のためのやきもの。4代続く亀岡の帰来窯・佐々木虚室は、『Kwakotoのために、ロクロを使わない手捏ねの伝統を守りてづく』の茶箱52www.kiraigama.comwww.yoshiha-yohey.com

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