SIGNATURE 2019 4月号
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漆芸織物――川島織物セルコン デザイナー本田純子すみこ――漆芸家服部一齋いっせい日本の四季の美しさを織り込んで、装いの贅を、しつらえへと生かす漆黒に金粉で描く、雅の象徴・蒔絵で、新たなプロダクトを彩る i 「handmade productscar ServiceKwakotoつつ、釉薬に金のきらめきで現代的なラグジュアリー感を添えた。茶箱は、皇居の豊明殿の調度品も担当した宮崎木材工業による京指物の技によって、釘を使わず、スマートなトランク型に組み上げられている。」で展開するアイテムには、革を友禅の「墨流し」技法で染め、老舗の高級鞄店で手縫いしたバッグ、西陣織のクッションなど、素材と技を最大限に生かしたマンシップの逸品がラインアップされている。 伝統工芸の技で自動車をカスタムする「Craft-」には、手仕事の工芸品の誂えの格別感が極まっている。シートは、マテリアル開発から行っている。インテリアファブリックのトップブランド『川島織物セルコン』のデザイナー・本田純子が下絵から手がけた「桜咲き」をイメージした生地。水墨画家・吉田翔の深みのあるモノトーンのイメージを、銀箔の曜変(西陣帯箔・京友禅/KYOTO Leather)で表現したレザーシート。また、西陣織の老舗『細尾』と開発したファブリック「ラスター」は、深い紺地に銀箔を貼った紙を織り込んだ贅沢さが魅力だ。 お椀や美術調度を、漆と金で彩るものである蒔絵を、ドアミラーやドアノブに施すオーダーメードは、服部一齋をはじめとする漆芸家らが、デザインを受けて下絵から手がけている。塗りと加飾に用いるのは、野外でも耐久性のある新開発の漆、MR漆と魁漆。蒔絵は、漆黒の上に漆で描き、そこに金粉を蒔いて再度漆を塗り、研ぎ上げる。光沢のある貝を貼り付ける螺鈿の技法も、そこに加わる。クルマへの蒔絵は、この伝統技法にとって全く新たな挑戦。車体とのバランス、ユーザーからの目線など、これまでの漆工にはなかった発想と繊細なバランスも考えて設計され、下絵段階からきわめて繊細な調整が積み重ねられる。さきがけらでん×クラフツ53www.kourin-urushi.comwww.kawashimaselkon.co.jp

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