SIGNATURE 2019 5月号
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 壮観だ。辺り一帯はきのこの香りに満ちあふれ、市場中どこを見渡してもきのこ、きのこ、きのこ――。 市場の裏に回ればきのこが箱詰めになって続々と出荷され、奥を覗けば、たった今到着したばかりのきのこが車のトランクから積み下ろされる。そこに群がる人、人、人――。ここは雲南省の省都・昆明の『木水花野生菌市場』。中国最大の規模を誇る、野生きのこ市場である。 ゆっくりと歩きながら、籠の中を覗き込む。イタリアをはじめ、広くヨーロッパで愛されているポルチーニ。日本の秋の風物詩でもある松茸。じゃがいものようにゴロゴロと転がるトリュフ。中国料理好きにはおなじみのキヌガサタケもフレッシュだ。それだけではない。恐らく雲南省でしか生で流通することがない、干巴や鶏樅菌といったきのこも所狭しと並んでいる。 雲南料理に特有のきのこ・食用花・ガンバージーゾンジュン野生のきのこの香りに溺れる昆明の野生菌市場34きのこ商人が小さな椅子に腰を下ろし、野生のきのこを販売する『木水花野生菌市場』。昆明市最大の野生きのこ市場で、生はもちろん乾燥品もある。

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