ある。 干巴は、襞に土が入り込んでいるため、ていねいに洗いながら割っていくと、最後には一枚一枚の花びらのような形になる。これを自家製のラードでパラリと炒めたり、大豆油で和えものにすれば、これがなんとも軽やかにして濃厚。これまでにない食感に、口の中で消えるのが惜しくなる。 そして牛肝菌ことポルチーニは炒めものが定番だ。干し唐辛子、生にんにくをたっぷり入れて豪快に鍋を煽れば、三味が油でひとつにまとまった、力強い山の味が口中に満ちる。また、鶏肉に似た味わいとされる鶏樅菌はスープがいい。透明な地鶏のスープに、裂いた鶏樅菌をたっぷり入れて煮込めば、甘みのあるきのこのエキスが五臓六腑に満ちていく。 卒さん曰く、雲南省できのこ狩りを楽しむ人は少なくなく、誰もが自由に入れる山では、早々にきのこがなくなってしまうという。そのため、きのこの収穫を生業とする人々は、国から長期で山の使用権を買い、その山を育てていくのだそうだ。 この日、卒さんと山に入らせてもらったが、いつも山を歩いているだけあって、どの辺りでどのきのこが生えてくるかを熟知していた。小さなきのこがあれば、そっと近くの葉を寄せて雨避けをつくり、次にどこから生えてきそうか目星を付ける。日々、山を見て、手入れしているからこそ、野生のきのこを手にできるのだと知った。ニュウガンジュンあま39よ昆明の市場でよく見かける喇叭菌(トランペット茸)。軟らかな食感でスープにするとおいしい(左)。二股に分かれた専用の道具で軽やかにきのこを採取する卒さん。山を歩きながらきのこの周りの雑草などを取り除く(右)。スープには、鶏の風味を持つと言われる鶏樅菌がベスト(右)。出来上がった料理は大きなテーブルに並べて頂く(中上)。少数民族・彝族が家族で営む農家楽(中下)。自家飼いの鶏は毛以外すべてを無駄なく食べる(左)。
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