ITI Inspiration』でした。それ「SAKECOMPETITION2018世界一おいしい日本酒を決める世界最大のコンペティション「ダイナースクラブ若手奨励賞」に輝いた宮城県白石市の酒蔵『蔵王酒造』。その近郊に位置する蔵王町に、その名も「蔵王料理」という看板を掲げる創作和食店がある。素材の作り手、素材を仕立てる料理人、そして料理に合わせた地酒のセレクション……。ここには「地産地消」という使い古された言葉の、すこぶる現代的なかたちと可能性がある。」で、 日本酒は地政学的にみるとおもしろいのではないか? その観点だと仙台の南、旧・伊達藩江戸側の要にある白石市に蔵を構える『蔵王酒造』はどんな位置付けになるだろう? 米どころ宮城は、当然酒どころ。だが多くの有名蔵は仙台よりも北にある。県南部の「仙南」と呼ばれる地域圏に属する蔵王酒造は、日本酒のイベントに出る度に、「樹氷で有名な山形の蔵ですか」と聞かれることも多いという。その意味では、東北新幹線の「白石蔵王」で駅名にその名を分かつ蔵王町も、名前の響きほどには内実を知られていない土地でもある。その〝地政学的リアリティ〞を覆そうとする二人の若者がいる。 「蔵王(酒造)の酒は今までと違うから、いいから飲んでみろよ!」と、酒席の相方に力説する客がいた。「地 「SAKE 「嫁の実家に持っていく酒を選ぼう元の蔵王酒造の酒が向上していることを実感できて、とてもうれしかったんです」と、語るのは、白石市の隣町・蔵王町に3年前にオープンした『蔵王料理のうらく伸』の店主・作間秀伸さん(33歳)。ミシュランガイド宮城版でビブグルマンに選ばれるという実績を持つ新進気鋭の創作和食レストランの料理人だ。おいて、「ダイナースクラブ若手奨励賞」に輝いた蔵王酒造の杜氏・大滝真也さん(32歳)と作間さんとの最初の出会いは偶然だった。と、白石の丸秀酒店に立ち寄りました。店主の阿部桂治さんから『若い人たちが造っていて、これから期待できるよ』と、飲ませてもらったのが『ZAOCOMPETON 2018までの蔵王とは違う酒質に衝撃を受けました。僕が店を出す直前のタイミングで、『ちょうどいい、ラッキー』と思ったんです」と、作間さんは振り返る。さっそく蔵王酒造を訪れ、杜氏と対面する。話せば、大滝さんが地元・白石工業高校の1学年下だったことも判明する。工業高出身で料理人や杜氏になるケースは稀だ。」に 「お互い異色で、あ、似た者同士だ」と二人はすぐに意気投合。となると、写真・永田忠彦 文・髙杉公秀 撮影協力:のうらく伸、木村硝子店「僕の店で、蔵王酒造の酒に合う料理を作って、たくさんの人に飲んでもらおう!」は必然だった。 「蔵王町は観光に力を入れていますが、大切な要素であるはずの料理は置き去りにされている」。そんな思いから作間さんは店名の頭に〝蔵王料理〞を掲げることにした。 「実家は農家ですし、店の周りは全部うちの畑です。店名の『のうらく』の由来は、農業を楽しみながら伸び蔵王町で、蔵王料理と銘酒「蔵王」を味わう5月にリリース予定の季節酒「蔵王 純米吟醸 K うすにごり」。宮城県産美山錦50%精米、みやぎ酵母「ほの馥」使用。720ml 1,512円(税込)。限定商品のため、流通は主に宮城県内が中心。グラスは木村硝子店オリジナルのショットグラス「トランペット Sウィスキー」 1,080円(税込)。www.kimuraglass.co.jp65日本の食文化を応援します。Photographs byTadahiko NAGATAText byKimihide TAKASUGI
元のページ ../index.html#59