素材の作り手の顔が見える、蔵王という場所の素晴らしさを発信したい間近に聞くことのできる作り手からの率直な反応は、次の造りへの原動力『のうらく伸』店主・作間秀伸『蔵王酒造』杜氏・大滝真也ニジマスなど、全国的にも誇れる食材の宝庫なんです」。 大滝杜氏も作間さんには絶大な信頼を寄せる。「作間さんにはうちの酒を一番に飲んでいただいています。出来たての新酒にも率直な感想をもらえるので、その反応を次の造りに生かす原動力になっていますね。本当に頼りになる存在です」。 酒と料理。ジャンルは違えど、「美味いものをつくろう」と、熱い思いを抱く二人の挑戦は「蔵王町の水で育てた米で酒を造ろう」というプランに結実する。大滝さん曰く、「ポリシーの塊みたいな人たち」との米作りが、今年始まるのだ。 「農薬を極力使わず、土中の微生物を上手に使って米作りをしてくれるていけたら、という思いから。この町は気候的にも露地物の野菜が豊富に採れますし、今回のお料理でお出しした蔵王育ちのバルバリー鴨や人を見つけました。そのうちの一人は僕の兄なんですけど(笑)。昨年スタート予定でしたが、種籾が十分に確保できなかったので。宮城県の酒造好適米である蔵の華で、米作りをします。蔵王酒造の蔵人たちにも米作りに参加してもらいたいですね」と、作間さん。 一方、大滝さんは、「蔵の華は作間さんと蔵王酒造との縁を繋いでくれたお酒『ZAOです。ですから、われわれの蔵が変わったことを証明する原点でもあるんです」と力を込め、次の造りへの意欲をにじませる。 撮影のための料理を作る時のことだ。作間さんが「ちょっと人参を抜いてきますね」とふらっと畑に向かった。もはや使い古されている〝地産地消〞という言葉に、新しい光が灯ったような気がした。蔵王町で味わう蔵王生まれの日本酒と、蔵王育ちの素材を用いた、ここでしか味わえない料理。訪れる価値があると、断言しよう。 Inspiration』の原料米66明治6年(1873年)創業。毎年11月から3月までの年1回醸造方式。地元産契約栽培米などを主に使用し、一貫して品質本位の酒造りに徹する。宮城県白石市東小路120-1電話 0224-25-3355 www.zaoshuzo.com『のうらく伸』では、生産者を中心とした酒とアテの研究会が年2回催される。右から店主の作間さん、『蔵王酒造』杜氏・大滝さんと蔵元の渡邊毅一郎さん。宮城県刈田郡蔵王町宮字二屋敷129-1電話 0224-26-6101Facebook.com ⇒ 蔵王料理 のうらく伸香ばしく、みずみずしい山菜の濃厚な味わいの「筍とアスパラガス、空豆の炭火焼」2人前 1,200円(税込)。合わせるお酒は、爽やかな香りとシャープな酸の「蔵王 特別純米酒 K」。美山錦55%精米。720ml 1,377円(税込)。木村硝子店のハンドメイド「ピーボワインカラフェ 180」を徳利に。180cc. 2,268円(税込)。www.kimuraglass.co.jp蔵王酒造蔵王料理『のうらく伸』
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