SIGNATURE 2019 7月号
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てられたネオクラシック建築の『ノイエス・ミュージアム』、ナチス建築の重厚なブロックを過ぎると見えてくる。地上4階、地下1階、エントランスの吹き抜けの高い天井が印象的だ。上階の展示室には建物の真ん中の細長い階段を上がっていく。どのフロアも同じ照明と空調を施した天井で統一され、すっきりとして無駄がない。設計を担ったハイケ・ハナダは「街の建築と公園を繋ぐランドスケープを造りたかった」と語っている。大きな窓から覗く、周辺の緑の景色は心安らぐし、地下のカフェのあるフロアからは、公園に面した大きなガラス戸からテラスにも出られることから、中から外へ眺望が開かれた空間が続いている。 展示はデザイン主流ではない。開校当時の実験的な発想や、時代の変化の中で画期的なアイデアがどう生まれてきたか、バウハウスがこの街を追い出された理由までをニュートラルに歴史を振り返りながら、構成されている。専用のアプリをダウンロードすると目の前の作品について情報が得られるサービスは教育のための要素が色濃い。 2階のワークショップルームではスタッフが打ち合わせをしていた。世界に影響を与えた芸術学校がこの街で生まれたという認識をより高めるプログラムの準備をしているようだった。新たに加わった街のランドマーク、バウハウス・ミュージアムの完成は文化都市ワイマールにとって、新しい時代の節目を象徴する出来事に見えた。31バウハウス・ミュージアム ワイマールBauhaus-Museum WeimarStéphane-Hessel-Platz 1, 99423 Weimar, Germany開館時間(2019年):月曜 9:00~14:30 火~日曜 9:00~18:00Tel: +49 3643 545400 www.bauhausmuseumweimar.de

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