SIGNATURE 2019 7月号
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 グレーの壁にBAUHAUSの白い縦組み文字のアイコンで知られるデッサウ校舎は、ヴァルター・グロピウスの設計により1926年に完成した。ボイラーや温水器、航空機の製造で勢いづいたユンカースの拠点であったデッサウ市はバウハウスを受け入れ、最新の技術を駆使し、機能と合理性を追求したこの建物が完成した。外壁一面がすべてガラスと鉄のフレームというのは当時、きわめて斬新だった。 それまでの生活様式をガラリと変える極端な実験や新しい試みをバウハウスは提案した。ドアノブや照明器具、スイッチ、椅子や机、階段の手すり、テーブルランプや食器にカーペットなど、機能そのもののフォルムの趣、デザインが問われた始まりだったといえる。 教師と生徒の距離も近い理想の総合リ=ナジ、実験住宅「アム・ホルン」芸術学校の誕生だった。木工やテキスタイルなどの作業場、教室、ステージと食堂のある校舎内に学生のためのアトリエ寮が併設され、教師陣の住まい、マイスターハウスも校舎から歩いて500メートルほどの距離でクリエイティブな環境が整っていた。短い間でも画家のワシリー・カンディンスキーとパウル・クレー、写真や映像のモホを草案したゲオルク・ムッヘ、舞台芸術に貢献したオスカー・シュレンマーらが、グロピウス建築のセミデタッチド・ハウスの同じ建物に住んでいたというのは、夢のような話である。グロピウスはその2年後に校長を辞任するまでに新興都市デッサウの低所得者のための集合住宅も設計し、それらの建物は現在も残っている。 デッサウ校舎は第二次世界大戦で大きく損傷し、旧・東独時代も美術学校として利用されていたが、修復が再開されたのは1976年。東西統一後、からは、来訪者がぐんと増えたことで屋上にソーラーパネルを設けるなど、アップデートされてきた。現在は建物自体が鑑賞対象となり、学生寮はホステルとなり、一般の宿泊も可能だ。35バウハウス・ミュージアム デッサウバウハウス デッサウ校Bauhaus Museum Dessau, Siegerentwurf vonGonzález Hinz Zabala, Barcelona, 2015/ Stiftung Bauhaus Dessauバウハウス デッサウ校のバルコニー写真:ラースロー・モホリ=ナジ 1927年Bauhausbalkone in Dessau, 1927Foto: László Moholy-Nagy / Bauhaus-Archiv Berlin - ©VG Bild-Kunst Bonn#bauhaus100Bauhaus Museum DessauBauhaus Museum DessauBauhaus Dessau (Building)バウハウスの拠点となったワイマール~デッサウ~ベルリンの3都市を中心に、ドイツ各地で創立100周年を記念したイベントが目白押し。#bauhaus100のハッシュタグは、今年のドイツの最新トレンド! www.bauhaus100.de2019年9月8日オープン予定。設計はバルセロナの建築家集団ゴンザレス=ヒンズ=ザバラ。バウハウス関連の世界有数の規模を誇る『バウハウス・デッサウ財団』所蔵の約49,000点のコレクションが順次展示される。オープニング展は、「Versuchsstätte Bauhaus(バウハウスの実験場)」。Mies-van-der-Rohe-Platz 106844 Dessau-Roßlau, Germany www.bauhaus-dessau.deTopicsバウハウス100周年世界最大規模のバウハウス博物館Bauhaus Dessau Foundation Gropiusallee 38, 06846 Dessau-Roßlau, Germany開館時間 : 月~日曜 10:00~17:00 Tel: +49 340 6508 250www.bauhaus-dessau.de96年にユネスコ世界遺産に登録されてDessauデッサウ バウハウスのアイコン

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