現在に生きるバウハウス バウハウス開校100年を記念して、ベルリンのバウハウス資料館は、テクタ社が復刻してきたバウホイスラー(バウハウスの人びと)による30の家具を、バウハウス・オリジナルとして認定している。また、「BauhausNowhaus」というエディションでは、テクタの若手デザイナーが現代のライフスタイルに合った配色やパターンなどを加える試みをしている。変化を好み、常にアップデートしていくバウハウスの実験的な精神が生きているという解釈だ。 自然に囲まれたメルヘンの世界のような田舎町。ドイツ中部のヴェーザー川上流沿いに位置するラウエンフェルデで、地元の40人の従業員によって、ほぼ手作業で作られる100%メイド・イン・ジャーマニーのテクタの家具。会社設立は1956年、この街の出身でベネズエラから戻ってきた建築家ハンス・ケーネッケに遡る。 アクセル・ブロッホイザーさんの家族は旧・東独で布張り家具メーカーを営んでいた。当時の社会主義体制では、すべての個人経営会社が国に没収され、自分たちに未来はないと、1972年、アクセルさんは父・ヴェルナーさん、叔父と3人で西側に亡命し、以前から面識のあったケーネッケを頼ったのが、事の始まりだった。ちょうど、ケーネッケは会社を誰かに譲りたいと考えていた頃で、ブロッホイザー親子は西側で家具作りを再開する。そして、アメリカに亡命したグロピウスの妻イーゼ、マルセル・ブロイヤーなど、アメリカアルヒーフ1右から:ショールームに並ぶテクタの家具。/アクセルさんの黒猫をモチーフに2017年、東京の『山の上ホテル』で開催された一夜限りの「TECTA BAR」の招待状。/一本のスチールパイプを3Dレーザーでカットしたダニエル・ローチの「スプリットチェア」(2017年)。/美術館のようなアクセルさんの仕事部屋の壁。進化し続ける芸術と技術の造形哲学Christian Drescher, CEO クリスチャン・ドレッシャーTECTA
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