東海岸やニューヨークと密に連絡を取りながら、バウハウスの家具を忠実に復刻し続けてきた。 「大切なことは重要な時と場所、そして人に会うチャンス」と、ギリシャ神話の〝時の神〞カイロスを引用するアクセルさんの目はキラキラと輝いていた。「そのように100年前、バウハウスも生まれたのだ」と。分析やマーケティングはそのものがよければ、インターネットの時代になっても、人は興味をもち、集まってくるという持論を貫いている。 アクセルさんの甥にあたる後継者のクリスチャン・ドレッシャーさんが工場を案内してくれた。スタッフはほとんど手作業でスチールパイプの座面のネットを編んだり、塗装を行っていた。「この近くに皮革メーカーがあって、革張りの椅子のオーダーがあれば、対応することもできます」と、あくまでドイツ国内での生産にこだわる。 バウハウスの復刻家具に限らず、テクタは1970年代〜80年代、美術家シュテファン・ヴェヴェルカと椅子の概念を覆す非対称のアームチェアを発表したり、英国人建築家のピーター&アリソン・スミッソンに、自社ビルの増築とカンティレバー・ミュージアムの建築を依頼するなど、バウハウスの実験の精神も推進していた。近年は最新の素材や技術を取り入れながら、合理的な機能美というバウハウスのデザイン思想に傾倒した、ブレることのないプロダクトを生み出し続けている。カンティレバー・ミュージアムテクタ社TECTA KragstuhlmuseumTECTA Bruchhäuser & Drescher KGアクセルさんとクリスチャンさんが座る椅子は、ヴァルター・グロピウスが、バウハウス ワイマール校の校長室のためにデザインしたF51 アームチェア(1920年)の復刻。左上:ピーター・スミッソンによる窓フレームの影。下:ヘリット・リートフェルトのL25 テーブルランプ(1925年)。Sohnreystraße 837697 Lauenförde, GermanyTel: +49 151 65 47 74 92www.kragstuhlmuseum.de日本での取扱先アクタス・新宿店 東京都新宿区新宿2-19-1 BYGSビル Tel: 03-3350-6011 www.actus-interior.com37Sohnreystraße 10 37697 Lauenförde, GermanyTel: +49 5273 3789 0www.tecta.deAxel Bruchhäuser, Ownerアクセル・ブロッホイザー
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