SIGNATURE 2019 7月号
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多様性も顕著です。お皿を、お寿司、韓国料理、イタリアンだって、どんな料理に使ったっていいわけです。カップでコーヒーでも、お茶を飲んでもいい。私たちが製作しているのはいわゆる西洋文化にある6人用セットではありません」。実際に日本、韓国、中東からのオーダーもある。食洗機にも入れることができ、スイスやフランスの料理店でも使用されており、古い窯元のように伝統や国籍は問わない。 工房には最近、20代前半の若いドイツ人研修生も入ってきた。デジタルの時代といわれて久しいが、生き残っていくために陶芸家になりたいと志望する人がドイツで出てきたというのは、実は新しい風潮だ。マイスターの一人、石岡祥子さんは、「日常生活をきちんと暮らしたいと思う若い人たちが増えています」という。子供や孫くらい齢が離れているので、ちょっとキツいことを言ってもギクシャクしない、いい距離感で教えられていると語る。また、研修生の一人、マックス・ビアマンさんは、「実際に陶芸を習いたくても、ドイツでここのように手作業で学べる場所は少ないのです」と、真剣な目つきで作業を続ける。 「私たちの手法や精神がドイツでこれからも続いて、広がっていくことは誇りです。とてもうれしいですね」と李さん。バウハウス最後の校長ミース・ファン・デル・ローエの「LESS IS MORE(より少ないことはより豊かなこと)」の言葉が、この工房には宿っている。マルガレーテンヘーエ工房Keramische Werkstatt Margaretenhöhe GmbHBullmannaue 19, 45327 Essen, GermanyTel: +49 201 30 50 80 www.kwm1924.de/日本での取扱先QUICO(キコ) 東京都渋谷区神宮前5-16-15 Tel: 03-5464-0912 www.quico.jp     リビング・モティーフ 東京都港区六本木5-17-1 AXISビル Tel: 03-3587-2784https://shop.livingmotif.com/feature/margaretenhohe*63ページに『マルガレーテンヘーエ工房』の商品紹介があります。41右:工房の棚に積まれている定番の平皿。一枚一枚に微妙に異なる手作りの温もりがある。左:ろくろを回す研修生のイザベルさんは、日本での焼き物修業を考えているため、日本語も習得中とのこと。

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