分かち合い、育てるパールポーク そよそよと風に揺れる青い麦の穂。もち麦畑にやってきた。もち麦はスーパーフードとして最近人気のシリアルだ。志摩では、固定品種「米澤もち麦」を栽培している。伊勢志摩サミットでは伊勢海老のリゾットに使われ、小さいけれど頼れるバイプレイヤーとして、注目された食材だ。 「種麦を蒔いたら冬は麦踏み、春は落穂拾い、すべて手作業なので化学肥料は使いません」。もち麦の栽培を指導する『はばたき』の山本京子さんは話す。3反の畑で年間約120キロの収獲。小さな栽培でも、続けているのには意味がある。この畑は、志摩のソウルフード「きんこ芋」(干し芋)の原料「はやと芋」ともち麦の二毛作なのだ。芋の収穫後、もち麦を育てれば、麦は土の栄養を摂り過ぎず、土はほどよく空気を抱えるので、麦の収穫後に鋤けばすぐに芋を植えられる。 「豚に真珠」。実際にやってみた人がいる。三重県を代表するブランド豚「パールポーク」を開発した河井金昭さんだ。養豚を営んで50年、河井さんは約2000頭の豚を、海の近くにある風通しのよい豚舎で飼育している。かつて父がしゃれで名付けた「パールポーク」、名前だけでは残念と思った河井さん。56ふっくら炊き上がったもち麦入りごはんから香ばしい麦の香りが立つ。米1合にもち麦大さじ1を加えて炊いたもの。もち麦は茹でて洗い、サラダやコロッケの具に混ぜてもおいしい。β-グルカンを豊富に含み身体にもよいと言われる。自然栽培のため、せいぜい伸びても50~60cm、背丈はばらばら。収穫量よりも育てる喜びが目的の栽培。玄麦のまま商品化した「はばたき」のもち麦「みのりくん」は、志摩市内のスーパーで販売されることもある。志摩市社会福祉協議会障がい者支援施設 はばたき 三重県志摩市阿児町神明2064-4 電話 0599-44-3335まさに「豚に真珠」! 真珠貝の粉と全粒トウモロコシ粉をブレンドした飼料で健康な豚に育つ。ジューシーな肉の旨み、キメの細かい肉質のパールポークは、『アマネム』の朝食「和箱朝食」でも提供中。肩ロースに低温でしっとり火を入れ、さらに高温で脂を落としながら炭火焼きに。総料理長の稲葉正信さんが100%ローカルフードにこだわったこの朝食は、素材の8割が志摩産。眼前に広がる英虞湾を眺めながら、地のものをいただく、これが本当の贅沢というもの。河井ファーム 肉よし本店三重県志摩市阿児町甲賀1459-1電話 0599-45-3629アマネム三重県志摩市浜島町迫子2165電話 0599-52-5000https://www.aman.com/ja-jp/resorts/amanemuカラフルな檜扇貝の絵馬やスルメイカの天日干し。志摩を回れば出合える、おおらかな食の光景。すもち麦
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