SIGNATURE 2019 8&9月号
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Signature21演出:マーティン・シュレップァー   (バレエ・アム・ライン芸術監督/振付家)出演:バレエ・アム・ライン   (ライン・ドイツ・オペラ バレエカンパニー)指揮:小林資典(ドルトムント市立オペラ 第一指揮者)演奏:[東京公演]シアターオーケストラトーキョー   [兵庫公演]大阪交響楽団公演オフィシャルサイトhttps://ballettamrhein.jp【東京公演】Bunkamura オーチャードホール(東京・渋谷)9月20日(金)18:30開演9月21日(土)11:30/18:30開演【兵庫公演】兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール(兵庫県西宮市)9月28日(土)15:00開演*開場はいずれも開演の45分前料金(全席指定・税込):SS席 25,000円 S席 20,000円【ダイナースクラブ会員特別優待】東京公演 ★SS席 中通路前保証!兵庫公演 ★SS席 中通路前保証!お申し込み ダイナースクラブ チケットサービスWEB予約 https://dnticket.jp/フリーダイヤル 0120-243-543(月~金10:00~18:00 土・日・祝休)※やむを得ない事情により出演者が変更になる場合があります。あらかじめご了承ください。※出演者変更にともなうチケットの払い戻し、公演日・券種の変更はお受けできません。※未就学児童のご入場不可。※お手元にダイナースクラブカードをご用意のうえ、お電話ください。Photos ©Gert Weigelt 慣れ親しんだ世界を慈しむ気持ちと、未知との出合いに胸ふくらませる気持ちの両方を抱くのが人間の常だとしたら、汲めども尽きぬ泉のような名作《白鳥の湖》を鬼才マーティン・シュレップァーの新演出・振り付けで送る『バレエ・アム・ライン』の初来日公演こそ、私たちの欲求を大いに満たしてくれるものといえるだろう。 シュレップァーは、2009年のバレエ・アム・ライン芸術監督就任以来、話題作を次々に発表し、2020年からはマニュエル・ルグリの後任としてウィーン国立バレエ団芸術監督になる注目の人物。その作品の特徴は、身体の強靭さを要求するダイナミックな動きや、人間心理を鋭くえぐる表現にある。2018年発表の《白鳥の湖》では、いかにもな白鳥・黒鳥や王子のコスチュームではなく、シンプルなワンピースやシャツを身に着けたダンサーたちが、踊りによって感情や関係性を浮かび上がらせていく。 もう一つ、シュレップァー作品を語るうえで外せないのが、音楽への敬愛と造詣の深さだ。今年はマーラーの交響曲7番をバレエ化。約80分の大曲に詰まった多彩な情感を表しながら、壮大なフィナーレへと向かうさまが見事だった。そんな彼は《白鳥の湖》を、世界初演時の原典譜を用いた小澤征爾指揮・ボストン交響楽団の音源を聴いたことをきっかけに制作したという。聴いてもらえばわかるが、この楽譜は、通常は3幕の王子とオディールのグラン・パ・ド・ドゥに用いられる曲が実は1幕のパ・ド・ドゥのためのものであるなど、バレエファンにも新鮮な構成。シュレップァー版ではこの原典版が生演奏で繰り広げられ、さらに物語は、プティパとイワーノフが改訂する前の初演台本に基づいて展開する。これがまた、オデットの祖父が登場したり、諸悪の根源は彼女の継母であって、ロットバルトは手下に過ぎなかったりと、今のスタンダードに慣れた目にはなかなか衝撃的な内容となっている。 だが、実際にシュレップァー版を観れば、こうした設定も音楽も、歴史的な意義以上に、何より普遍的な人間の姿を表すものだとわかるだろう。見慣れたファンタジーから解き放たれ、現代にも通じる人間ドラマへと再構築するシュレップァー版。バレエファンにもバレエビギナーにも突き刺さる、不朽の名作の新たな姿をお見逃しなく!バレエ・アム・ライン初来日公演!マーティン・シュレップァー演出《白鳥の湖》olumnText by Ayako TAKAHASHITicket Informationクラシックバレエの概念を変える、鬼才シュレップァー版《白鳥の湖》。バレエ・アム・ライン初来日公演文・高橋彩子(舞踊・演劇ライター)3Entertainment

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