札 幌市・狸小路のビルを5階に上がると、正面に真っ黒な壁が現れる。奥へと歩を進めれば、そこに広がるのは白壁のダイニングとオープンキッチンのある開放感あふれる空間。ドラマティックな演出に呼応するように、藤谷圭介シェフの繰り出す皿には、骨太さと繊細な美しさが同居する。 「江差のサクラマスのスモークとグリーンアスパラガス、マルテーズソース」は、美意識の光る温前菜。シェフの地元、江差の漁師が神経締めしたサクラマスは、冷凍して1週間程度寝かせることで脂が回り、味も増す。低温オイルでゆっくりと火を通し、溶けるような食感に。アスパラガスは、甘く軟らか。酸味の効いたソースと絡めれば、舌の上で絶妙な味わいになる。 「噴火湾産ヤリイカのフォアグラ詰め」は、店のスペシャリテとも言える一品。ぷりぷりのイカと、中にたっぷり入った濃厚なフォアグラ、そこにポートワインとフランボワーズビネガーの甘酸っぱいソースという組み合わせは、一度食べたら癖になる味だ。 2年前のオープン以来、道内外からの客足が絶えない。人気の背景には、自らの技術を磨くだけでなく、食材に遡って農家や漁師の人々と一緒に品質向上に努めてきたという実績がある。 「ここ数年でその成果が表れてきたと思います。ただ新鮮なだけの素材では、勝負できない。きちんと〝手当て〞された食材を使い、その味を最大限に引き出す料理を目指しています」札幌Sapporoえさし五感を刺激する美しき一皿食材と技が出合うニューフロンティアオプトゥニール ケイ40上右:「江差のサクラマスのスモークとグリーンアスパラガス、マルテーズソース」。上左:「噴火湾産ヤリイカのフォアグラ詰め」。下右:道南・江差町のイカ漁師の家に生まれた藤谷圭介シェフ。それもあって、魚介料理が得意。下左:開放感がありながら、上質な空間。ワインはブルゴーニュを中心に、きれいな味わいの自然派もそろえる。*両店ともダイナースクラブ フランスレストランウィーク(2019年9月20日~10月6日)に参加します。obtenir Kオプトゥニール ケイ北海道札幌市中央区南3条西5-36-1 F.Dress 五番街ビル5FTEL:011-222-7030www.obternirk.com
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