SIGNATURE 2019 8&9月号
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均整のとれた姿を目に焼き付け、ダイニングに足を踏み入れると、そこは木がふんだんに使われた空間。隅々まで美意識が行き届いているが、不思議と緊張を強いない心地よさがある。ラフィックデザイナー・田中一光さんが羊蹄山の麓に広がる真狩村を気に入り、アートディレクションを担当。建築家の内藤廣さんが設計し、『マッカリーナ』が生まれた。緑と同化する名建築の中で菅谷伸一シェフが生み出すのは、自然を感じさせる力強い料理だ。 約20種の地元野菜と魚介などが盛り付けられた前菜は、まるで森のよう。続いて、ハムやサラミ、豚の内臓で作ったアンデュエットなど、自家製シャルキュトリーが登場する。メインは、ベルモットとマデラ酒のソースが添えられた、羊肉のロースト。素材の味が口の中にしっかりと広がる。 「僕の料理の哲学は、一つ一つの食材の味が、そのままお客様に伝わるように心がけること。基本はフレンチですが、日本のいい食材は取り入れるし、最近はアイヌ料理を勉強したいなとも考えています。彼らがこの土地で生きるために培った食の技術から、学べるものがたくさんあると思うんです」 スタイルにはこだわらず自由だが、食材を最高の状態で提供することに集中する探究心。再び訪れ、違う季節、違う味を、また堪能したいと思った。ストランへと続く階段に向かう瞬間、眼前に羊蹄山が広がる。 22年前、数々の傑作を生み出したグまっかり真狩Makkari食と自然、建築が融合するmaccarinaマッカリーナ上段右:自家製シャルキュトリー。上段左:約500坪の畑で25種類以上の野菜を育てているという菅谷伸一シェフ。狩猟に出かけ、獲った鹿や鴨を料理に使うこともある。下段右:羊肉のロースト。蒸し焼きされた夏野菜は、別の鍋にたっぷりと用意する。下段左:緑に囲まれたダイニング。ワインはフランス・アルザスを中心に、北海道のものも取り扱う。41マッカリーナ北海道虻田郡真狩村字緑岡172-3TEL:0136-48-2100maccarina.co.jpレ

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