スティング曲づくりについて教えてください。ツアーはどのような内容になる予定めていたい』は、すごく多義的に解釈できる。ある意味、ロマンチックだし、かなり邪悪な曲ともいえる(笑)。人をコントロールすることや監視、また嫉妬について歌っているからね。それでいてすごく優しさがある。どの感情も否定するつもりはないよ。なぜならそれがこの曲の何たるかであり、この曲の持つパワーになっていると思うから。相反する感情を同時に抱くということがね。それなのに結婚する時にこの曲を使う人がいるんだよね(笑)」 「それぞれの曲は、いろいろな方法で出来上がる、つかみどころのないものなんだ。ソングライティングとは何たるかを理解したかといえば、いまだにできていない。どのボタンを押せば、成功するような曲が書けるのかまるでわかっていないんだ。もう50年もソングライターをやっているのに、曲というのは、いまだにミステリーだ。僕の人生における謎の解けないパズルみたいなものなんだ」ですか? 「ツアーをどのように始めるのかはすでに決めていて、その後は、日によって変わっていく(笑)。たとえば、アルバムに入ってない曲でライブを始めてみる。『ブラン・ニュー・デイ』のアルバムで書いた『サウザンド・イヤーズ』という曲でね。ただその曲が好きだというだけの理由なんだけど。この曲は、リインカーネーション(再生/輪廻)についての歌で、曲に何が伝えられるのか、という可能性について歌ったものだ。そういう曲でライブをスタートするのは、ある意味、象徴的だよね。 毎晩、それぞれの曲を〝再定義〞してみると決意して演奏している。それが僕のライブのやり方なんだ。レコードとは違ってね。だから、その関係性が逆転するということはない。『マイ・ソングス』には、それぞれの曲の新しいバージョンが収録されているわけだけど、ライブではまたさらに新しいバージョンを発見しようとすることになる。だからライブに来ても、アルバムでの解釈で曲が聴けるわけではない。そういうライブはしたことがないんだ(笑)」もう一度、自分の曲を全部見直して、レコーディングしてみたいと思っているんだ。またこれをやってみたいんだよね。全曲でね15ステイング 2019年7月、スペイン・マルベーリャ Photo by Jorge Guerrero / AFP / Afroーー
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