CSignatureほうらいはなぐもりかんばやしいど20会期 : 2019年9月14日(土)~12月1日(日)開館時間 : 10:00~17:00(入館は16:30まで)休館日 : 月曜、9月17日(火)・24日(火) 10月15日(火)、11月5日(火) (ただし9月16日・23日、10月14日[いずれも月・祝]、 11月4日[月・休]は開館)《大井戸茶碗 銘蓬莱 武野井戸》16世紀 藤田美術館蔵はしもと まり/日本美術を主な領域とするエディター&ライター。永青文庫副館長。著書に『SHUNGART』(小学館)、『京都で日本美術をみる【京都国立博物館】』(集英社クリエイティブ)。 会場 : 三井記念美術館 東京・日本橋室町「三井本館」7階 ※入口は日本橋三井タワー1階アトリウムアクセス : 東京メトロ三越前駅A7出口徒歩1分 東京メトロ日本橋駅B9出口徒歩4分お問い合わせ 03-5777-8600 (ハローダイヤル)www.mitsui-museum.jp/《蕎麦茶碗 銘花曇》 16世紀 個人蔵《大井戸茶碗 上林井戸》16世紀 三井記念美術館蔵たいひさんさんかもんこほうあんみしまはけめいらぼごほんこひきあまもりそばごしょまる日本美術の冒険 第57回「茶の湯」が見出した高麗茶碗の作行き。その多彩なバリエーション文・橋本麻里 2019年は奇跡のように国宝茶碗に恵まれた年となった。この春、曜変天目茶碗3碗が揃って公開されたことは記憶に新しい。大阪市立東洋陶磁美術館の《油滴天目》は常設展示されており、相国寺所蔵の《玳玻盞散花文天目》は、10月からの相国寺・承天閣美術館「茶の湯─禅と数寄」に、本阿弥光悦《白楽茶碗 銘 不二山》は9月29日まで、サンリツ服部美術館の「茶人に愛された数々の名碗」展に出展される。現在8碗存在する国宝指定茶碗のうち、6碗までが公開の機会を得た。これらは中国、そして日本の茶碗だが、朝鮮半島で焼かれた高麗茶碗にも国宝がある。それ茶の湯の名碗が大徳寺・孤篷庵が所蔵する高麗茶碗、《井戸茶碗 銘 喜左衛門》だ。 高麗茶碗とは、室町時代以降、日本にもたらされ、茶の湯の碗として用いられるようになった陶磁器のこと。当初は茶の湯と関わりなく作られたものを、日本の茶人が見出して(見立てて)わび茶の茶碗として用いていたが、やがて茶人からの注文に従ってつくられるようになる。そしてわび茶の盛行に伴い、それまでの唐物(中国)茶碗に代わって、和物の茶碗と共に、茶碗の主流となっていった。 今展に《喜左衛門》は登場しないが、「一井戸・二楽・三唐津」(1番目を楽に、2番目を萩とする謂いも)とも謳われる茶碗の王者であり、高麗茶碗の中でもっとも格式が高い井戸茶碗を筆頭に、三島、刷毛目、粉引、雨漏、蕎麦、御所丸、伊羅保、御本など、さまざまな分類、名称で呼ばれる茶碗が勢揃い。 会場では時代を追ってそれらを3種類に大別し、それぞれのジャンルを代表する名品を紹介。高麗茶碗の多彩な魅力を一望する展示となる。時ならぬ「茶碗」祭りとなった一年を締め括る展示を堪能したい。InformationolumnText by Mari HASHIMOTO特別展2Art高麗茶碗
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